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彼女の夜 1 ページ1
私は私が嫌いだ
そして
きっと絶対に
神様も私が嫌いだ
だから
私が愛した人はみんな
神様に取り上げられてしまうんだ
だから
私は誰も愛したりしない
ホテルの最上階のバー
ステーブルまでガラスで出来ていて眼下に広がる夜景を見るためのお店
スタンディングでぼんやりと焦点をぼかして見下ろすとふんわりと空に浮いているような不思議な気持ちになる
そう
そうやって日常から自分を切り離して別世界に身を置くのだ
私はこの場所に毎月決まった日に訪れて決まったカクテルを二杯だけ頼む
その二杯をかなりの確率で空いている端っこのテーブルに置いて店の中に背を向ける
それぞれが自分だけの世界と時間を過ごすこの空間は
誰も私に興味を示さない
ここに私が存在しない感覚はとても心地いい
ただただそこに存在するあかりを眺めて時間を漂う
時計も何も見ずにふと我にかえったタイミング
ゆっくりとカクテルを一杯だけ飲み干すと私はそっとこの場所をあとにする
そして地上におりた私は
やっぱり私になんか興味はないけれど
でも存在しないことにはしてくれない雑踏を縫うように歩いて
明日の私がしなくてはならない仕事の段取りを頭の中で組み立てている
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作者名：UTA
| 作成日時：2019年11月26日 14時
