誕生日プレゼント2 (青) (ページ7)

今日:2 hit、昨日:1 hit、合計:32,392 hit

7 ページ7

そんな私の顔を見て
きょとんって表現がピッタリな顔をしていた安田様は｢あぁやっと笑ろてもらえた｣｢僕のせいで緊張させてもてたんやろか｣そう言ってまた柔らかい笑顔を見せてくださった

確かに踏み込まないように気をつけていたけれど営業上で問題ないくらいには笑顔を作っていたと思うんだけど
それに何よりお客様のせいで緊張って本当に意味の分からない事を言う人だなと思った

全ての施術が終わって安田様は自分の髪を触ると
｢なんなんこれ｣｢全然手触りがちゃうやん｣
目をまん丸にしながら何度も自分の髪を指で梳いていた

｢ご自分でシャンプーなさる時にもっとびっくりされますよ｣そう私が答えると
｢へぇそぉなんや｣｢シャンプーするんめっちゃ楽しみやわぁ｣と言いながら支払いをされた

｢よろしければまたご利用ください｣そう言いながらショップカードをお渡ししお釣りをお渡ししかけたら
｢あっ領収書もらえますか｣｢出来たらレシートタイプやないやつで｣とおっしゃられた

｢承知致しました｣と手書きの領収書を準備し記入していき最後にカルテを確認しつつお名前を記入していく
視線を感じて顔を上げると安田様は静かに微笑んで
｢名前で呼んでもらえたからもしかしてって思もたけど｣｢やっぱ気づいてもらえたんちごたんやな｣と呟いて
私が書き上げた領収書とお釣りを受け取って帰って行かれた

こんな時間に足は大丈夫なのかと思いつつ入口までお見送りをする
店の前に設けた駐車場には安田様の容貌からは想像つかない
大きな外車が止まっていて
荷物を助手席に載せるとぺこりと一礼をして安田様は車に乗り込まれた
私はその車が角を曲がるまでお見送りをしてから中に戻る
片付けをしながらも気がつけば安田様の事をずっと考えていた

全てを終えて二階の居住スペースに上がり
お風呂上がりのビールを飲みながら自分でもなぜだか分からないけれどパソコンに“ 安田章大”と入力していた