誕生日プレゼント2 (青) (ページ4)

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カラーリングとパーマが施された手入れはされているけれど傷んでしまっている髪に丁寧にブラシを通す

真夜中のこんな時間に夜の世界に長く身をおく常連のお客様が連れてこられた
友達と呼ぶには年齢が離れ過ぎているお客様に
時間が許すならとヘッドスパをとお勧めする

するとお客様は｢やっぱ傷んでますよねぇ｣
と自分の髪を指先でつまんで優しく独り言のように言ったあと｢ヘッドスパと毛先のカットをお願いします｣と続けた

カルテを作成するに当たってお名前を伺うと
一瞬の間があってから｢やすだしょうたです｣と名乗られ
続けて私が漢字を伺うと｢･･･俺もまだまだやなぁ｣と呟いてから一文字ずつ説明してくださった
私は何がまだまだなのか分からないまま
丁寧に時間をかけてカウンセリングを行いアレルギーや頭皮の状態を確認してから
私は安田様から香る香水をもとに好きであろう匂いを想像しマッサージに使うオイルを何種類か用意する

安田様の前にオイルを載せた小さなテーブルを置くと男性にしては少し小さめのそれでいてとても男らしい手でオイルの瓶をつまみ上げてそこに書かれた文字を読んでいた
ムエットを準備しかけた私を制して｢これで｣と言ってひとつの瓶を差し出した
そのオイルは私が安田様ならこれかな？と密かに思っていたもので
そんな事は別段珍しくも無いのに何だかこそばゆい気持ちになった自分に驚いた

そのあと施術をする時に安田様は顔にガーゼを乗せる事を断り静かに目を閉じられた