耳元で歌わせて (赤) 10

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子供ん頃はしつけに厳しい恐いおじぃちゃんやったけど

いつの間にか体もこしょっと小さなってもて

ほんまのおじぃちゃんになってもた


そのおじぃちゃんがにこにこしながらAちゃんを見て



｢こちらこそよろしくなぁ｣



ってちょっと間延びした挨拶してくれて

そんなおじぃちゃんの横でおばぁちゃんがニコニコ笑ろてくれてる


おじぃちゃんとおばぁちゃんにお年玉渡したら

それを仏壇にあげて手を合わせたあと

おばぁちゃんは台所に行ってもた

慌てて立ち上がりかけたAちゃんをおかんがとめて



｢Aちゃんはすばると一緒におじぃちゃんの相手したって｣



そう言うて部屋を出ていった


おじぃちゃんは仏さんに供えてあった日本酒を下げてきて

おばぁちゃんに座ったまんまてグラス持って来るように言うてた


おばぁちゃんちごておかんがグラスとかまぼこやらのおつまみ持ってきて

俺とAちゃんにはコーヒーをいれてくれとった


おじぃちゃんはせっせと料理運んでくれとるおかんや

台所行ったまんまのおばぁちゃんそっちのけで

おとんと二人してさっさと飲み始めてもうてて


おばぁちゃん特製の俺の大好きな茶碗蒸しが出てきた頃には

すっかり酔っ払ってもぉとって



｢Aちゃん｣

｢すばると仲よぉしたってなぁ｣

｢ちょっとそっけないとこあるけど根はええ子やから｣



そう言うてAちゃんの手をとって何度もおんなしこと繰り返しとった

ほんなおじぃちゃんとAちゃんの事を他のみんなは目を細めて

Aちゃんは少し困ったよぉに

けどやっぱり嬉しそうに

何度も頷きながら笑ってくれとった

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