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小さな駅の改札を出て
目印があるようでない住宅街を
朝の記憶を逆再生しながら帰る
何度か迷って立ち止まって
朝は五分ちょっとで着いたはずの距離を倍以上の時間をかけて
心が折れかけた頃にやっと家に着いた
けど
着いたはええけど
玄関は閉まったまんまで
ピンポン鳴らしてもAちゃんは帰ってへんのか反応がない
色々と時間かかってもたし俺の方が後かと思たのになぁ
って鞄に手ぇ入れてから気がついた
あかんやん
俺ここんちの鍵持ってへんやん
Aちゃん遅なるってどれくらい遅なるんやろ？
ご飯の事とか言うてへんかったしすぐ帰ってくるやんな？
LINE送ろかと思たけど
急かすんも悪いなぁと思てスマホをしまう
電気もついてへん玄関先に立ってる俺を
表の通りかかったスーツ姿のおっちゃんが
じーっと見てくる
ヤバい
ここに立って待っとったら俺ただの不審者やん
かと言うてこんな住宅街
さっき歩いた限りでは
時間潰すような店あらへんかったし
何よりまた帰って来れるか自信もあらへんし
しゃあないから車ん中乗って待つ
ご近所さんの目に触れへんよぉに
変な噂がたたへんように後部座席に寝転んで
次のライブで新しくやる曲を聴く
何度か聴いて
自分ん中のイメージ固めたら
AちゃんとのLINEを開いてみるけど
新しいメッセージもあらへんし
ちょっと眠たなってきて目を瞑る
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作者名：UTA
| 作成日時：2019年2月10日 6時
