偶然出会ってデビューしたんだけど8

アレ ページ41

アレが来た。

先月は来なかったから楽だったけど、その分今月は重くなった。


倒れてから止まってしまい、二度と来ないと思ってたのに、

体重が軽いせいで、まだ不順が多くて、月に何度も来たり、来なかったり、3日で終わる日もあれば、2週間続く時もある。

その度に、2人は私に気を使ってくれる。



叶「龍ちゃん、大丈夫、じゃないよね。何か欲しいものある？」

『……』



ベットで横になる私に、叶がいつも以上に優しい声で話しかけてくれる。

けど、お腹が痛くて、身体がだるくて、頭が痛くて、反応が冷たくなる。



叶「お薬飲んだ？」

『…飲んだ』

叶「効いてない？」

『ぅん』

叶「ココア飲む？」

『…ぅん』



Twitterのリプにあった、こういう時のおすすめの飲み物。

毎回そうだ。

叶は察しがいいから、すごく気を利かせてくれる。



『……ぁなえ』

叶「なぁに？」

『サーシャは？』

叶「リビングにいるよ。呼んでこようか？」

『ぅうん、サーシャに迷惑になっちゃう。血の匂いいっぱい』

葛「んな事気にしねぇよ。バーカ」

『サーシャ…』

葛「迷惑とかねぇわ」



そう言って、サーシャは私を毛布ごと抱きしめてくれた。


会ってすぐの頃なんて察しが悪かったのに、

「お前血の匂いする」なんて言われた時は殺してやろうかと思った。

デリケートな所にズカズカ突っ込んで来たのに、今では匂いですぐにわかるのか、叶より先に気づいてくれる。

こういう時にサーシャの事を避けちゃうことも、全部わかった上でそばに居てくれる。



叶「ココア作ってくるね。葛葉も飲む？」

葛「飲む」




葛「謝んなよ。1番辛いのはお前なんだから。して欲しい事あんなら言え」

『…手握って』

葛「ほら」

『もっと強く抱きしめて』

葛「ん」

『頭撫でて』

葛「次は？」



きっと、これも言えばしてくれる。

でも、私達の関係は、それをしていいのか分からない。

だから、言えない。

出かけた言葉をグッと飲み込み、別の事を探す。



叶「おまたせ〜。はい、熱いから気をつけて飲んでね」

『ありがとう』



叶が入れてくれたココアを受け取り、1口飲む。

甘さと温かさで、ホッとする。



叶「……僕配信してきてもいい？」

『……』



ヤダなんて言えなくて、小さく頷く



叶「何が欲しい？」

『服…叶の匂いするから』

叶「いいよ〜、ちょっと待ってねぇ」



そう言って叶は、今着ている服を脱いで、私にくれた。


叶の服に顔を埋める。

叶の匂い

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