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少しの虚しさは消えず、なんとなく抱えたまま迎えた当日。
この虚しさは、少しの胸騒ぎに変わっていた。
何かが起こる気がする。
mm「へえ...俺A社来たの初めてっす。こんなでかいんスね...」
nb「そりゃあ、この業界ではトップクラスの業績だからな」
無駄にケバい受付嬢にアポイントの確認をして、ロビーのソファへ促される。
数分待っていると、取引時には必ず居る、いつものメンツが揃っていた。
「今回から新しく担当に加わった者が居るんですよ。上で待っておりますので行きましょう」
新しい人か...また1から関係築くのめんどくせえな、なんて考えながら精一杯の笑顔を貼り付けたままエレベーターに乗り込む。
8階で止まったそれは、ゆっくりと扉を開ける。
いつもの応接間へ着くと、ドアを開けてくれた。
中には、一生懸命資料やコーヒーなんかを整理する新担当の人らしき人物が。
nb「っえ...？」
「ああ、紹介します。こちら、今回新しく担当に加わった宮舘です。新しく加わったと言ってももう入社5年目でね、彼はかなり実力のある...」
世界が、時間が止まったように感じた。
いや、止まっていたと思う。
nb「りょう、た...？」
随分大人になっていて、やんちゃに遊ばせていた髪の毛もきっちり整えられているが、あの時のかっこよさもキリッとした顔つきも、あの時のままだ。
この俺が見間違えるはずがない。
mm「先輩？どうしました？ちょ、おーい、先輩？」
nb「っは、あ、ごめん。
すみません、宮舘さん、でしたっけ。あまりにもその、高校の頃の同級生に似ていたもので、っはは、本当すみません」
似ていたんじゃない、本人だ。
今までどこにいたの？何してたの？どうして消えたの。
聞きたいことは山ほどある。掴みかかりたい気持ちをぐっと堪えて、平然を装った。
当の涼太は涼しい顔をしていて、俺の言葉に「そうでしたか、そんな偶然もあるものですね」なんて普通に返事をしてくる。
なんだよ、お前は俺と会えて嬉しくないのかよ。
驚かないのかよ。
こんなに会いたかったのは、会えなくて辛かったのは、俺だけ、なのかよ。
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作者名：こーちゃん
| 作成日時：2023年1月1日 20時
