燕子花

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side紫





年末も近くてバタバタしている俺たち営業部。





俺も残業の回数が増えたし、オフィスは遅くまで電気が点いている。







そんなある朝出勤すると、この春入社した期待の新人くんが顔色を真っ青にしてアワアワしている。






「おはよ、どったの？」





「あ、深澤さんおはようございます。実は俺昨日資料にミスがあったの気づかないまま出しちゃって、それで渡辺さんに連絡がいったみたいで昨晩夜な夜な作り直してくれたらしくて、それでほんと俺、申し訳なくて、」






「おーおー落ち着け。ちょっと焦りすぎ。またミスるぞー」







「だって、渡辺さんお子さんもいるのに俺のせいで夜遅くまで...」







「そんだけ反省してんならアイツは怒んねえよ、翔太来たら謝っとけ」







未だに申し訳ない...ってアワアワしている新人くんを横目に、俺はデスクへ。




今日も仕事は山積みだ。







そのうち定刻ギリギリに翔太はやって来て、新人くんは腰を直角に曲げて全力で謝ってた。







だけど気になるのはその翔太の顔色。







新人くんとは別の意味で顔色は最悪。






昨日も眠れていないみたいだし、目の下のクマは色を塗ったんじゃないかと思うくらい濃い。




最近忙しい俺たちだけど、翔太はなにかと仕事を引き受けがちで滅多に断らない性格。
それに加えてまだ小さい蓮の世話もあるんだから余計にじゅうぶん休めていないはずで。






最近の翔太は特にふらふらと危なっかしい。






だけどそれを止められないのは、やっぱり俺も周りの奴らも目が回るほど忙しいからで。




これは所詮言い訳だけど、今翔太が抜けたらその穴埋めは間に合わない。








「翔太おはよ、昨日何時に寝たの？」





「おはよ。多分4時には寝た」





「4時！？お前ちゃんと休まねえと。今週いっぱいはまだまだ忙しいのに身体持たないよ」






「別に、平気だし」








元々そんなに身体も強くない癖して、こういう時だけかっこつけちゃうんだから。







「まじで無理すんなよ、ぶっ倒れる前に誰かに相談すること」






「ん」







痩せてさらに細っこくなった翔太を横目に気にしながら、取り敢えずは仕事に取り組んだ。







まあ、この時無理にでも休ませておけば、なんて考えても遅いよね。

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