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28話 ページ30

むかしむかし、20年以上前のことだった。
ある所に1人の夢見る生徒がいた。
小さい頃からアニメを見て、それに憧れて声優を目指したという。

宝石ヶ丘学園に合格したとき、泣きそうになって喜んだ。それから、その生徒は真面目に勉強し、練習し、仕事を受けた。
ユニットのメンバーとも良好な関係で、学園では有名な存在となっていた。


「A、明日は待ちに待ったアニメの収録だな!俺、楽しみすぎて寝れないよ!」

「コンディションは万全にするんだよ?」

「わかってる。それじゃ、また明日!」

「うん、バイバイ。」


その生徒たちは、翌日に大きな仕事を控えていた。
寮制度のなかったその時代では、自宅から通うのが普通であった。

夕方、赤く染まり暗くなり始めた頃、Aの背後から近づく人影。
その人物は挙動不審で、目が虚ろだった。

手に持った刃物が、沈みかけている太陽を反射させて不気味に光る。
その反射光に気づいた生徒。


「な、何なの…」


やばい。そう直感で思ったとき、足は勝手に動いていた。逃げるんだ、早く。
刃物を持った男は、それを振り回しながら追う。
不自然なほどの速さで追いかけて、肩を掴んだ。

生徒はバランスを崩し、地面に倒れる。
その拍子に、鞄から収録用の台本が落ちた。


「痛っ…」


倒れた生徒に馬乗りになる男。
刃物を振りかぶると、一気に振り下ろす。
はっと目を見開いた生徒の肩に、刃物は刺さった。
赤く染まる空よりも赤い液体が流れ出る。


「ぁああぁぁあっ!!!は、なせっ…!!」


男は言葉にならない叫びを上げて、何度も何度も刃物を振り下ろす。
傷ついていない方の手で必死に抵抗する生徒。


明日は収録があるのに。

やっと夢が叶うのに。


腕や肩、腹に鋭く走る痛み。宝石ヶ丘の制服が、赤く、赤く染まっていく。
腕に力が入らない。遠のく意識の中、残った力で声を出す。


「嘘…だ、こ…なの……」


地面に落ちた台本は赤く染まり、付け加えられていた字が滲み、読めなくなる。


その言葉を最期に、生徒は息絶えた。

男は薬で半狂乱状態にあったらしい。
叫び声を聞いた近隣住民が通報し、警察4人がかりでようやく取り押さえたという。

学園の生徒たちは、葬儀で大粒の涙を流し、ユニットメンバーは大声で生徒の名を呼んだ。
しかし帰ってくるのは残酷な静寂。

アニメの収録は当然キャスト変更。


夢は叶わなかったのだ。


それが、彼女の最期だった。

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マグロ隊長 - 亜紀さん» 読んでいただきありがとうございます!続編というか、ただこの夢主ちゃんで恋愛的なのを書こうと思っただけなんですけどね…笑椿くん良いですね!これから考えてみます(^_^*) (2018年11月6日 23時) (レス) id: ff77c9afb9 (このIDを非表示/違反報告)
亜紀(プロフ) - 私は個人的に椿が好きなので絡ませて欲しいなと(((殴、コホン…なんでもありません。最後になりましたが応援します、頑張ってください!! (2018年11月6日 18時) (レス) id: 65d880c966 (このIDを非表示/違反報告)
亜紀(プロフ) - 最後まで読ませていただきました。いやぁ、私結構僕っ子好きなんですよね、だから嬉しかったですよ夢主が僕っ子で!続編?書いてくださるんですか!?ぜひ読ませてください!! (2018年11月6日 18時) (レス) id: 65d880c966 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:マグロ隊長 | 作成日時:2018年9月28日 1時

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