26話 ページ28
蛍side
「ん…?どこに行くんだろ…」
7月、午前授業で教室には俺以外に人は居ない。
ふと見た窓の外に、榎本くんの姿が見えた。片手には花束を持っている。遠くてあまり見えないけれど、お線香も持っているように見えた。
俺は、申し訳ないと思いつつも、気になって尾行することにした。
榎本くんの行き先は、電車に乗って2駅の場所だった。山の近くで、目立った建物は無い。
この先は、墓地があるだけだ。
墓地に入っていって、続いて俺も墓地に踏み入った時に、彼の姿は無くなっていた。
制服を着ていたから、すぐに見つかるはずだが、他には墓参りの人が数人いるだけだ。
「おかしいな…」
少し不思議に思ったけれど、これ以上ここに居ても何も得るものはない。
強い日差しにあてられながら、俺は学校に戻った。
夜になっても、昼間のことがなんとなく引っかかっていて、考え込んでいた。
誰かの墓参りだったと思うけど…、急に居なくなったし、いやでも、俺が見失っただけか…?
俺には関係のない話だけど、なんだか胸騒ぎがする。
「ほーたる、何考え込んでんの?女の子?」
「櫻井先輩…、いや、何でもないです。おやすみなさい。」
「そう?なら良いけど。おやすみ。」
気のせいなはず。俺はそう思って眠ることにしたけれど、なかなか寝付けなかった。
櫻井先輩が眠ったあと、何か飲み物を買いに行こうと部屋を出た。
リビングに自販機がある。そこで少し休憩しよう。
「あっ…、榎本くん。」
「蛍ちゃんじゃん。飲み物買いに来たの?ぼくのおすすめはどら焼きラテ!…というのは嘘で、はちみつティーかな?」
ばいばい、と去っていってしまう榎本くんを、つい止めてしまった。
俺から話しかけられるのが珍しかったのか、不思議そうな顔を見せる。
どうにも今日のことが気になって止めちゃったけど、なんて言えば良いんだろう…
「いや、何でもない。ごめん、引き止めちゃって。」
「あれ、くれるの?ありがとね。」
引き止めたお詫びにと、買ったはちみつティーを手渡す。
しかしそれは、榎本くんの手から落ちてしまった。
この時間だとリビングも暗い。手元がよく見えなかったからだと思う。
はっとした顔をして、榎本くんはそれを拾い、部屋へと戻っていった。
そういえば、榎本くんはC棟のはずだけど、ここまで飲み物を買いに来たのかな…
俺もそういう時があるから、特に気にしなかった。
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マグロ隊長 - 亜紀さん» 読んでいただきありがとうございます!続編というか、ただこの夢主ちゃんで恋愛的なのを書こうと思っただけなんですけどね…笑椿くん良いですね!これから考えてみます(^_^*) (2018年11月6日 23時) (レス) id: ff77c9afb9 (このIDを非表示/違反報告)
亜紀(プロフ) - 私は個人的に椿が好きなので絡ませて欲しいなと(((殴、コホン…なんでもありません。最後になりましたが応援します、頑張ってください!! (2018年11月6日 18時) (レス) id: 65d880c966 (このIDを非表示/違反報告)
亜紀(プロフ) - 最後まで読ませていただきました。いやぁ、私結構僕っ子好きなんですよね、だから嬉しかったですよ夢主が僕っ子で!続編?書いてくださるんですか!?ぜひ読ませてください!! (2018年11月6日 18時) (レス) id: 65d880c966 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:マグロ隊長 | 作成日時:2018年9月28日 1時