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17話 ページ18

時が過ぎるのは早い。
楽しいことなら、なおさらだ。


あっという間に放課後。
私は、授業が終わると収録室へとダッシュで移動した。扉を開けると、そこに居たのは…


地面に倒れたAくんだった。


「Aくんっ…、Aくん…!!どうしたんですか!?」


慌てて駆け寄り、身体を起こすと、ゆっくりと目を開けた。その姿は弱々しく、力がこもってなかった。


「ひか…り、ちゃん…?ごめん…、ぼく、もうダメみたい…。手足が痺れて…」

「待ってて下さい!すぐに先生を…」


そこまで言いかけると、ガバッと起き上がり、子供のような純粋な笑顔で言った。


「嘘だよっ!あははっ、ごめんごめん。でもさ、本当に危なそうに思えたでしょ?」

「Aくん…。私、本当に心配したんですからね!これっきりにした下さい!」

「次から気をつけるよ。ごめんぬ。」


明後日の方向を向いて、反省の色を全く見せない彼に、私はもう諦めることにした。
それにしても、だいぶ早く来たはずなのに、どうして私より早く来てるんだろう…

そんな事は置いておいて、早速練習を始めることにした。
私がセリフを読み始める。Aくんは、台本を持ったまま真剣な顔で聞いている。


「うーん、ここなんだけど…」

「はい…、はい。あぁ、なるほど!やってみますね。」


感情の出し方などを、時々手本を見せて教えてくれる。流石に有名ユニットなだけあって、演技がとても良い。
時々混じる嘘も、場が険悪にならず、良い雰囲気のままなのも彼らしい。


「ありがとうございました。Aくん、とても分かりやすかったです!」

「まぁね。ぼくってなんでも出来るからさ。まぁ嘘なんだけどね、出来ないことだってあるしね。」

「あの、お礼と言ってはなんですが、」


そこまで言うと、私の言葉を遮ってAくんが喋り始めた。


「えっ、デートしてくれるって?じゃあ今週末だよね。あー楽しみだなぁ!」

「えっと…」


断る方が失礼かな。そう思って、私は今週末にAくんと出かけることになった。
これっていわゆるデート…な訳ないか。

ほんの少しだけその日を楽しみに、解散したのだった。

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マグロ隊長 - 亜紀さん» 読んでいただきありがとうございます!続編というか、ただこの夢主ちゃんで恋愛的なのを書こうと思っただけなんですけどね…笑椿くん良いですね!これから考えてみます(^_^*) (2018年11月6日 23時) (レス) id: ff77c9afb9 (このIDを非表示/違反報告)
亜紀(プロフ) - 私は個人的に椿が好きなので絡ませて欲しいなと(((殴、コホン…なんでもありません。最後になりましたが応援します、頑張ってください!! (2018年11月6日 18時) (レス) id: 65d880c966 (このIDを非表示/違反報告)
亜紀(プロフ) - 最後まで読ませていただきました。いやぁ、私結構僕っ子好きなんですよね、だから嬉しかったですよ夢主が僕っ子で!続編?書いてくださるんですか!?ぜひ読ませてください!! (2018年11月6日 18時) (レス) id: 65d880c966 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:マグロ隊長 | 作成日時:2018年9月28日 1時

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