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15話 ページ16

三人称side

宝石ヶ丘に響く足音が2つ。
平均よりも小さな身体の生徒が1人、それに対し、いかにも男子高校生といった見た目の生徒が1人。

まさに鬼ごっこ。廊下を駆け抜けて、2つの人影が目まぐるしく移動していく。


「コラ、待てお前っ…!」

「やーだよっ、加賀谷ちゃんこそ、逃げてる相手を追い回すなんて、モテないよ?」

「なんだと…、くそっ、すばしっこいな!」


加賀谷が榎本を追いかけていたのだ。
体格が小さいだけあって、素早い榎本。しかし、なびく三つ編みを掴まれたことで、長い鬼ごっこは終了したのだった。
地面に座った榎本。対して加賀谷は口を開いて大声で言った。


「お前な、昨日親切に運んでやったのに、一体どういうつもりだ!?何が《俺は雅野に罵られたい》だよ!」

「似合ってると思うけどなー、嘘だけど。」


榎本へげんこつを落とす加賀谷。
背中にそう書かれた紙が貼ってあったのだ。
榎本は頭を押さえて頬を膨らませる。


「これのせいで今日は散々だったわ!ミヤにはキモいって言われるし、変な目で見られるしよ。」

「そっか…ごめんね。加賀谷先輩。」


急に表情が曇り、地面に座ったまま謝罪する榎本。
加賀谷はもちろん、廊下にいた生徒が驚きの表情を浮かべる。
しかしそれだけでは終わらず、涙を浮かべ、泣き出してしまった。


「でも、げんこつまで落とさなくたっていいじゃんかぁ…。うっ、ひどいよ…。」

「そ、そんなに強く殴ってねぇだろ…。って、なんだそのあからさまな玉ねぎは。」


榎本の手には、玉ねぎが持たれていたのだ。
恐らく、畑の物だろう。2Cは畑実習があったのだ。
もはや隠す気など微塵もない玉ねぎに気がつかれると、態度が一変した。


「あっ、バレた?でも、泣いてる人間には弱いんだね。結構優しいじゃん。好きだよ、そういうとこ。…嘘かもしれないけどね。」

「あっ待て!…くそっ、行ったか。」


泣き顔から、一気に笑顔に変わった榎本。
玉ねぎを持ったまま、加賀谷の隙をついて逃走を開始した。咄嗟のことに、さっさと逃げられてしまう。


「かーがやん、ドンマイじゃん。面白いもの見せてもらったよ。」

「櫻井…、お前見てたのかよ…」


加賀谷の肩に手を置き、声をかける櫻井。自分は止める気など無かったが、話が終わった途端に登場。
2人は、外から見ると、意外に仲良く見える。櫻井のコミュニティー能力が高いからかも知れないが。

この後加賀谷は、雅野からキモいと一日中言われたのだった。

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マグロ隊長 - 亜紀さん» 読んでいただきありがとうございます!続編というか、ただこの夢主ちゃんで恋愛的なのを書こうと思っただけなんですけどね…笑椿くん良いですね!これから考えてみます(^_^*) (2018年11月6日 23時) (レス) id: ff77c9afb9 (このIDを非表示/違反報告)
亜紀(プロフ) - 私は個人的に椿が好きなので絡ませて欲しいなと(((殴、コホン…なんでもありません。最後になりましたが応援します、頑張ってください!! (2018年11月6日 18時) (レス) id: 65d880c966 (このIDを非表示/違反報告)
亜紀(プロフ) - 最後まで読ませていただきました。いやぁ、私結構僕っ子好きなんですよね、だから嬉しかったですよ夢主が僕っ子で!続編?書いてくださるんですか!?ぜひ読ませてください!! (2018年11月6日 18時) (レス) id: 65d880c966 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:マグロ隊長 | 作成日時:2018年9月28日 1時

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