最年少幹部部下となりました ４冊目

後悔の記録１５９ ページ15

「(いやつーか近ッ)」

背中はぴったりと織田作の胸元にくっついているし、首あたりには彼の腕が回っている。ここにきて突然の夢展開に心臓がうるさい。

「あ、あの！」
「なんだ」
「ここらへんの狙撃ポイントからして、古書通りの向かいにあるビルが怪しいです」
「！」


この状況から逃れたくて、手短に狙撃手のありかをネタバラシした。ソースは原作。
織田作はじっと外の様子を見つめ、すぐに狙撃手を確認した。


「見つけた。逃げられる前に狙撃手を追うぞ」
「了解です。私が先に扉開けるンで、後から来てください」


二発ほどの狙撃を避けて、私たちは部屋から脱出した。


「織田さん道分かります？！」
「ああ！」
「じゃ二手に分かれましょう、私馬車道につながる方の逃げ道ふさぎます」


確かこのあとは、金庫を持つ織田作のもとに追手が向かうはずだ。そうしたらあの最悪上司太宰さんも登場する。
あんなシリアスシーン、目の前にしていられるか。別の場所に避難しよう。


「わかった、気をつけろ」
「織田さんも気を付けてくださいね」


たぶんっていうか、絶対あなたの方に追手が行くんで！
心でアスタラビスタベイビーを唱えて、私と織田作は二手に分かれた。


□


そうして二手に分かれた先で、来るはずもない狙撃手を待ち伏せしていると、ポケットの携帯が震えた。
太宰幹部である。このタイミングの着信、嫌な予感しかない。
私は呪いの手紙を開けるように着信ボタンを押した。

「はい、高橋です」
『二手に分かれたと、今織田作から聞いたけど、なにしてるんだい？』

かなり分かりづらかったが、これは、今何してる？ではなく、何やってんだよ手前、というトーンである。

後悔の記録１６０→←後悔の記録１５８

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す