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苦労の記録149 ページ2

その言葉を皮切りに、彼は思い出すようにこの復讐劇に至るまでを語った。
 妹と二人暮らしをしていたこと、慎ましく平和な生活だったこと、ある日誘拐されたすえに芥川に殺されたこと、亡き父の軍事会社と地下の支配権を乗っ取って今回の復讐に至ったこと。


「容姿……っていうか、たぶん、雰囲気が近いのかな。生意気でわがままで、でも憎めなくて、この子とならいいかなってなる。」

「……妹さんと、仲が良かったんですね。」


両親がいないなか、兄妹ふたりで温かな日々。まるで、私と私の姉のようで、意図せず情けない声を出してしまった。


「どうかな。俺は妹のこと好きだったのかな。」
「?」


突然の切り替えしに、志賀と私は眉を寄せた。どういうことかと問い詰める前に、雪也先輩は自分から説明しだす。


「泣いてないんだ。妹が死んでから、一度も。本当は悲しいのかも、復讐をしたかったのかもわからない。」


雪也は妹が死んでから一度も、涙を流さなかった。怒りに囚われているからでも、現実を受け止めていないからでもない。雪也の心は、不自然なほどに揺れ動くことはなかった。


「自分が実は狂ってることは知ってたけど、ここまでとは思わなくて、怖かった。心がないみたいで。」


分かっていたのだ。自分は本当は頭がおかしくて、排他的なやつだってこと。父が死のうが母が死のうが無関心だったし、妹の暮らしのためにその死を利用さえしていたこともある。
 でもまさか、その妹にでさえ、こんなにも薄情だったかもしれないなんて、信じたくないじゃないか。

「復讐することでマトモな奴って言い聞かせたかったのかもしれないね。」

罪の告白のように暗い顔で語る雪也先輩に、私はなにを言えばいいかわからなかった。しばらくの沈黙の後、私は口を開いて、閉じて、そうしてようやく言葉にした。


「好きじゃなきゃ、真似事でも復讐なんてしませんよ。きっと。」


雪也先輩は、私の言葉に小さくそっかと返して、そうしてまた微笑んだ。とても心がない人とは思えないほど、温かな笑みだった。

志賀、雪也、十七歳→←苦労の記録148



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黒灰白有無%(プロフ) - 創作伽羅が出て来るのは余り読まなかったのですが此の創作伽羅達2人と夢主は超好きです,物語も本当に好みのモノで大好きな作品です!!原作沿いの続きも楽しみにしてます!!気が向いたらで構いませんので更新仕手下さると嬉しいです!!是からもずっと応援しております (9月28日 4時) (レス) @page16 id: 1ab55170b6 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 初めまして。凄く面白くて好きです!続き待ってます!!! (9月25日 4時) (レス) @page16 id: 872e19f483 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 一気に読んでしまいました!とても面白く、太宰さんが冷酷という設定は珍しくオリキャラも非常に好きです!先の展開が待ち遠しいです。これからも頑張ってください。勝手ながら応援してます! (9月10日 2時) (レス) @page16 id: 4386aff6fa (このIDを非表示/違反報告)
朱雨 - 大好きです。僕の文スト夢傑作集に新しく入るほどまっっじでおもろいです。どうやったらこの好きさを伝えられるか……更新待ってます! (7月14日 13時) (レス) id: c4ce57e384 (このIDを非表示/違反報告)
アオリンゴアメ - めっちゃ好きです!これからどんな展開になっていくのか楽しみで仕方がない…太宰さんがどう変わっていくのか気になりすぎてうずうずしてます笑更新待ってます!! (7月9日 11時) (レス) @page16 id: 276a6da939 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:メガネ第2号 | 作成日時:2022年8月28日 5時

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