苦労の記録101 ページ1
……は?何を言ってるんだ此奴は?
急な発言に驚きつつ、彼の行動を注視する
「なんで、なんで!!怪我は無かった筈……!!」
先程から同じ様な事を、ブツブツと方針状態の様に呟いている
瞳孔は開き、額からは汗が出てる。
もはや狂人だ。恐ろしいし怖いし、なんかもう正直逃げ出したい。
「おい!」
「んぐッ」
彼は唐突に私の胸倉を掴み、ぐっと引き寄せてきた。首が詰まり、げほ、とせき込む
「誰だ」
「は……?」
「誰に……、誰にやられたんだ!この包帯は詰まるところ怪我だろう。誰だ?誰だ、誰なんだ?ボクの高価な素材を傷付けたのは誰なんだよ?ボクの邪魔をしやがって、絶対許さない痛めつけて痛めつけて殺してやるから、早く言え!!」
凄い勢いで迫られた
尋常じゃない人の目をしている、濁っていて、怒りに染まっていて、正気を灯していない瞳だ。
回らない頭で彼の話を聞く限り、どうやら私の腕が問題らしい。
「(腕……?)」
何かあったか、と思い横目に見るとたしかに包帯が巻かれている。
「(これは確か、あの時太宰さんに───)」
あの包帯を巻いた憎たらしい上司が、脳裏によみがえった。
“───ナイフはね、こうやって扱うんだ”
そう言って私の左腕を刺してきた上司
聡明で、常に先手を読んでいる、あの上司。
「(ああ、そっか…)」
パチリとピースがはまったように、納得した。
太宰さんは屹度、ここまで“予測してた”のだろう。
なんて腹立たしい事だろう、その為に態々刺したのか。一言相談してくれてもいいだろうに。否、私に言っても言わなくても結局はこうしていた
ちゃんと意味があって彼は私の左腕を刺したのだ。
だって、このケガがなければ、私は今目の前の彼に──
「(……太宰幹部らしい)」
何も言わず、ただ一人で、それこそ独りで、そ良い所をかっ攫う。
私ごときに、あんな事で太宰さんが自ら手を振るうなんて、それこそ何か理由がないと有り得ないと、昔から分かってた事ではないか!
「おい、誰なんだよ!!」
すっかり正気を失った彼をじっと見つめる。
胸倉を掴んでいるという事はつまり、私の顔が届く範囲だ。
すぅ、と深呼吸をして、私は。
「ぃ゛っ?!、」
ゴヅ!!と鈍い音が響き、ぐわりと視界が揺れた。
かなりの石頭なので、私の頭突きは相当痛いと思う
そして彼は頭部への痛みのあまり、私の胸倉を掴んでいた手を、離してしまった。
「しまっ…!!」
その一瞬の隙を、私は見逃さない。
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メガネ第2号(プロフ) - かえる。さん» 返信激遅でごめんなさい、更新しました!コメント励みになります、遅筆ですがぜひ最後までお付き合い下さい。 (2022年8月28日 6時) (レス) id: 652442107f (このIDを非表示/違反報告)
かえる。(プロフ) - やったー!更新してる!(≧▽≦) (2022年5月24日 21時) (レス) @page46 id: 06d9623eb5 (このIDを非表示/違反報告)
メガネ第2号(プロフ) - 望務さん» ひい!!嬉しいです。文章少し長くなったりしてうざったいかもしれませんが頑張って書きます!ありがとうございます! (2022年5月24日 20時) (レス) id: 5b50776276 (このIDを非表示/違反報告)
メガネ第2号(プロフ) - 紺さん» 前々から読んでいてくれていたんですね!出戻り嬉しいです、本当にありがとうございます!コメント励みになります、頑張りますね! (2022年5月24日 20時) (レス) id: 5b50776276 (このIDを非表示/違反報告)
メガネ第2号(プロフ) - 小夜子さん» 返信遅くなってごめんなさい!コメントありがとうございます、他の作品も読んでくれているようで凄く嬉しいです!文スト4期公開楽しみに頑張ります! (2022年5月24日 20時) (レス) @page46 id: 5b50776276 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:メガネ第2号 | 作成日時:2018年7月3日 4時