苦労の記録109 ページ9
新章突入〜!
□
ミーンミーン…と蝉の音。
視界は熱気のせいで歪み、街中では民衆が打ち水を行う。茹だるような夏の暑さに、誰もがぐったりと潰れていた。
「ぅあ゛っつ……」
無論、私もだ。
ジャケットは脱ぎ、Yシャツの袖は捲っている。後ろの志賀も同じようにセーターの袖を捲り、襟元をぱたぱたと仰いでいた。
「志賀、あんたがこれ持ってよ……!」
「嫌です僕機関銃なんですよ〜……」
「私バズーカ……」
「……どんまいです〜」
私たちが背中に背中に背負うはカモフラージュされた銃火器たち。
先程マフィアに楯突く中小企業に喧嘩をふっかけてきたところ、この銃が大変高価な物らしく、包帯上司から持ち帰れとの命が出たのだ。
「おっもい!!」
この暑さの中、重い銃何本か持って歩いてみろ。即死だ、熱中症で即死だ。
なのにあンのバカ上司……!!
暑さやら何やらで不機嫌がMAXになっていると、あるものが目に付いた。
「志賀、これ持ってて」
「は、だから僕も……ってちょっと?!」
持ってたバズーカ(包装済)を志賀に放り出し、一目散に走り出す。
距離を見計らって、私は跳躍した。
「ぃだっ?!」
跳躍の勢い、男に飛び蹴りをした。突然後ろから飛び蹴りを喰らった男は、なすすべなく地面に雪崩込む。
その弾みでポケットから高価な革財布が出てくる。
無論、盗品である。
「こんな真昼間にスッてンなよ、バレるに決まってんだろ!」
大声で言い放つと、遠くを歩いていた女性が、気づいて此方を向いた。
先ほどすられていたのはあの女性である、私は彼女に駆け寄って財布を手渡した。
「はいこれ、気を付けてくださいね」
「わあ、ありがとねお嬢ちゃん」
「……」
お嬢ちゃんという言葉になんとも言えない屈辱感を抱え込み、いえいえこれくらい、と愛想笑いをした。
「馬鹿だよなぁ、彼奴……」
離れた場所で重そうに荷物を抱えた志賀が、私の方を見て柔らかく微笑んでいた。
□
「潜入捜査?」
運んだ銃を専門の班に引き渡した後、中也さんの指示で呼ばれた私達。どうやら新しい長期任務らしい。
「おう、実は最近反抗精神の高いグループが居てな」
「反抗精神!Aみたいですね〜」
「は?何言ってんのお前」
「落ち着け。で、調査班によると、首謀者はどうやら女、しかも表に溶け込んでいるらしい」
ここでいう表、とは一般人の事である。なるほどそれは見つけにくい所に居るものだ。
「それで、僕たちが探れと?」
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メガネ第2号(プロフ) - かえる。さん» 返信激遅でごめんなさい、更新しました!コメント励みになります、遅筆ですがぜひ最後までお付き合い下さい。 (2022年8月28日 6時) (レス) id: 652442107f (このIDを非表示/違反報告)
かえる。(プロフ) - やったー!更新してる!(≧▽≦) (2022年5月24日 21時) (レス) @page46 id: 06d9623eb5 (このIDを非表示/違反報告)
メガネ第2号(プロフ) - 望務さん» ひい!!嬉しいです。文章少し長くなったりしてうざったいかもしれませんが頑張って書きます!ありがとうございます! (2022年5月24日 20時) (レス) id: 5b50776276 (このIDを非表示/違反報告)
メガネ第2号(プロフ) - 紺さん» 前々から読んでいてくれていたんですね!出戻り嬉しいです、本当にありがとうございます!コメント励みになります、頑張りますね! (2022年5月24日 20時) (レス) id: 5b50776276 (このIDを非表示/違反報告)
メガネ第2号(プロフ) - 小夜子さん» 返信遅くなってごめんなさい!コメントありがとうございます、他の作品も読んでくれているようで凄く嬉しいです!文スト4期公開楽しみに頑張ります! (2022年5月24日 20時) (レス) @page46 id: 5b50776276 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:メガネ第2号 | 作成日時:2018年7月3日 4時