最年少幹部部下となりました ３冊目

苦労の記録１２０ ページ20

面倒だな、と思って何となしに外を眺めていた内に、黒板は模擬店の候補で白く埋め尽くされていた。目を通してみる


チュロス、チョコバナナ、タピオカミルクティー、焼きそば、お化け屋敷、…え、枝豆？

枝豆は美味しい、塩っぽさが堪らない
模擬店で出すにはバリエーションが少なすぎると思うのだが、個人的には好きである


｢枝豆がいい人ー？｣

『……。』

｢誰もいないねー？｣


だがしかし誰も手を挙げないのならば私も挙げない、挙げれない。済まないな、枝豆
ていうか発案者誰だよ、提案したんだから挙手しろよ(学校あるある)





｢じゃあクレープがいい人ー？｣


『……。』



周囲の様子を見る。ちらほらと挙手する人が増えていく。これになる可能性が高いかな。そろそろと私は右腕を上げた



｢じゃあ、クレープで決定でーす｣




はーい、と疎らにクラスの返事が響く
クレープかぁ…まあ妥当だな、甘いものも食べ物にもなるし、売れると思う
勝手に批評して私は一体何様なんだという感じだね



『(じゃあもう後は寝てりゃいいか)』


一番後ろの席だし、そんなに目立たないだろうと思って机に突っ伏して、目を閉じた。私って文化祭に対してこんなドライだったっけ。
ああ、そうか、慣れ親しんだ友達が居ないから興味無いのか



独りごちて、考えるのを放棄して寝るのに集中をした。

いつの間にか、放課後になっていた





＊



｢Aのクラスは何になりました？｣


報告書の打ち込みが終わり、いざ帰らんと昇降機の釦部分にIDパスを翳した。その時に、丁度志賀も帰ろうとしていたらしい、私の後ろから声を掛けてきた


『クレープ』


言うと同時に昇降機の扉が開く
昇降機の床は絨毯が無いので、躊躇いなく足を踏み入れることが出来る


｢ああ、一年は食べ物の専売しか駄目なんでしたっけ｣


喋りながら志賀もIDパスを素早く翳し、昇降機に乗る


『三年は喫茶みたいなのもOKだもんね』

｢そうなんですよ、だからコスプレ喫茶になりました｣

『そりゃ定番だ。』


此奴は顔(だけ)は良いから、屹度宣伝用やら何やらに盥回しにされるだろう。志賀の焦る顔が目に浮かぶ。ざまあみろ、にやけそうな顔を締めて、一階に着いたらしい昇降機から降りた


｢…定番なんですか？｣

うわ、そうだった。此奴根っからの裏育ちだ


『あーうんそうね。あ、そいや芥川は？おなじクラスでしょ？』

｢ああ、芥川はチャイナですね〜｣


吹いた。

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