死後、第２ステージは横浜で。

死後のレポート２３ ページ23

「…あれ…？」


いつまでも予想していた死が身を襲わない不思議さから敦くんは顔を上げる


そこにはこの展開の結末を最初から知っていた皆さんが並んでいた。皆口々に喋り出す


「やれやれ、馬鹿だとは思っていたがここまでとはな」
「彼には自 殺嗜好の才能があるよ」
「ごめんねー…大丈夫だった？」


…私も驚いたフリすればいい？
分かりましたよ、やりますよ


『えっと…？』
「バイトさんもグルってことですか…」

「小僧、恨むなら太宰を恨め。それか、仕事斡旋人を間違えた己を恨め」
「言っただろ、ちょっとした試験があるって」


国木田さんが少し太宰さんを馬鹿にする様な台詞を言う

「つまり…」


社長来る？！社長来る？！
はよ来い社長はよはよはよ





「入社試験…？」

敦くんが小さい声でいう

…あれ？




「その通りだよ、敦くん」


……あれれ？しゃ、社長は？このタイミングじゃないの？

少し戸惑っていると太宰さんが窓の方へ歩み寄り、換気か知らんが窓を開ける
え？こんなシーンありました？御褒美？


窓の淵にとす、と座り太宰さんは喋り出す



「まぁ上手くいってよかった
昨日慌てて考えたからね」




太宰さんは座りながら外を見ている
…なんか怖いんだけどその格好



と、冷や冷やしていると





ひゅ、と風が吹き出し太宰さんの上半身がバランスを崩し寄り掛かる術も無く宙を舞う




つまり





──太宰さんが落ちそう



「太宰さん？！」
『…ッ！！』



瞬間、無意識に足が動いた


人生初、と言ってもいいくらいの速さで体を動かす。頭の中にはやばいの単語がうめ尽くされている。キャラが落ちる？あってはならない




思いっきり走り、机を飛び越えて窓の方へ向かう。スローモーションに思える位だ




なんとか、手を掴めれば…！！



思い切り手を伸ばして、太宰さんの右手を掴もうとする。



『…掴めた…ッ！』

パシ、という擬音が聞こえるくらいしっかり掴めた。太宰さんは宙吊りだ




良かった…ほんと…なにしてんの？！太宰さん馬鹿なの？


心に思った事をそのまま太宰さんに視線を向けると、彼は妖しく口角を少し上げた





…おい、なんだその笑み、
真逆…








『…これも、試験…？』
「うふふ」



悪戯が成功したような子供の笑顔の太宰さん
どうしよう殺意が湧きそう

イラぁッとしていると








待ちわびたその声が聞こえた







「──その通りだ」


きゃー…
いつも日本で回っていてお疲れ様でーす…

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