苦労の記録43 ページ43
辺りには木、木、木
緑の木がさわさわと蠢いている
月明かりに照らされた溶け掛けの雪は耀いていて幻想的だ
『…此処、だよな…』
口から出る吐息が白くなる
志賀優哉は今違う場にいるが、マフィアから襲撃されたと連絡が伝われば、本拠地のビルに戻って応戦するだろう
ビルに行くにはこの森を通るしかない
そこで、私が…足止め役だ
襲撃が開始されて20分ほど経った
そろそろ来るかな…
灰色の月か、結局わからずじまいだったなぁ
どんなだろう
『…やっぱ寒い』
──ふと、気配を感じた
『……ッ?!』
─ヒュッ!
異能を使い、ナイフを数本後ろに投げつつ
背後を振り向くが誰もいない
相変わらず木ばかりだ
でも、…
『(確かにいる)』
気配は消えたが、絶対何処かにいる
そういう確信があった
とうとう来ましたか、志賀優哉
何処だ…?わからない
自分の喉が鳴る音と、風の音と気がざわめく音が聞こえる
緊張からか、異様に大きく感じた
辺りに異変が起きた
──パキ、ピキ
周りが少しずつ凍り始めたのだ
木々の根元は冷たい透明間ある氷に包まれていく
寒いとはいえ、凍るほどの温度じゃない
ではこれは?
異能だ。成程、氷系統のやつか
武器はなんだ、なにがいいだろうか、銃?ナイフ?この際瞬時に全部出せるからいいや
この氷、…蹴れるかな
自分なりにこの状況について分析していると、
──ヒュッ
自分の頭目掛けて氷の塊が飛んできた
ナイフを出して、それを跳ね返す
───ヒュ、ヒュンヒュン
が、まだ終わらない
避け続けているが四方からどんどん氷の塊が飛んで来る
跳ね返すのを続ける
が
『(…この位は余裕だっつーの…ッ!)』
とはいえこれで体力消耗しちゃ意味が無い
どこだ…?何処で誰が飛ばしてる?
全神経を集中させ、感覚を研ぎ澄ます
うん、頑張ろう
『(──彼処だ)』
見つけた瞬間、新しい氷の欠片が飛んできた
丁度いい、これを使おう
とん、と少し飛んで空中で足を上げて構える
氷の欠片はすぐそこだ
ジャストタイミング!!
『いい加減、出てこぉおおい!!』
───ドゴォオオン!!
氷の欠片を多分志賀優哉がいるであろう場に蹴り飛ばす
木が少し倒れ土煙が立つ
これで死んでくれ、お願い
土煙が晴れてくる
一人の影が見える
それは段々明らかになり
姿見を現す
──「死にたくないなら、退いてくれない?」
1175人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ブラコン - かっかッこいいっ兄に思わず抱きつきましたぁ〜。ぶたれたし、抱きつきたくなかったよ〜!けどけど、イラストがッ! (2018年7月21日 22時) (レス) id: e9f72c513a (このIDを非表示/違反報告)
杏 - めっちゃおもしろいですね! 殺せば、勝ちなんだのところ吹きましたwww 渚君www (2018年7月4日 0時) (レス) id: 636a061378 (このIDを非表示/違反報告)
いんこ - 37ページの下らへんに中也のとこで「だうしな」になってます (2018年1月29日 16時) (レス) id: 4376bf785f (このIDを非表示/違反報告)
信乃(プロフ) - イラストかきました。どぞ→ http://uranai.nosv.org/uploader/common/7/6/8/768eaacc1415e24c7349773e07126187.jpg (2018年1月27日 19時) (レス) id: 3baa51b5a2 (このIDを非表示/違反報告)
自殺嗜好(プロフ) - めっさお気に入りです!夢主ちゃんのリアルな突っ込みが気に入ってます!これからも頑張ってください! (2018年1月25日 11時) (レス) id: f37f9cdf35 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:メガネ第2号 | 作成日時:2017年12月31日 19時