苦労の記録28 ページ28
?
私の顔に大きな疑問符が浮かべられる。発言の意図がわからずにぽかんとしてると、ぴんとおでこを弾かれた。
「猫かぶんなって言ってんだよ、少なくとも俺の前では。」
「……は?」
渾身の優等生の演技を猫被りと片付けられた苛立ちを抑えて、考え込む。こんな、こんな暴言ばかりの本性を、隠すなと言ったのか、この男は?いや、まさか!……じゃあ何を言いたいんだ?
「……??」
未だに意味がいまいち掴めてない私に対し、中也さんは溜息をついて、掴んでいた私の髪をぱっと離す。
なすすべも無く顔面から地面と衝突した。
「あでっ!!」
巫山戯んな此奴。ひとこと文句言ってやる、とまだ重苦しくうつ伏せの状態のまま、顔だけを上げて中也さんを睨みながら口を開く。
「あんた、離す時は一言くらい、!!」
「それ」
「はあ?」
待ってました、と言わんばかりの顔で中也さんは私を指さした。
「それでいろって事。」
えっ?
「まず手前、最初っからばれてんだよ、猫被ってるって事。」
「……え?!」
何を言っているんだろう。私は目を丸くした。別に中也さんには何も毒を言ってないし、そもそも私今まで完璧な優等生でいたじゃないか。
「えっ、……どういう……え?」
突然のカミングアウトに焦っていると、中也さんはそんな私を鼻で笑った。
「つっても、俺もあの場面見なきゃ騙されてたけどなァ。」
「……あの場面?」
どこを見たら私の猫かぶりが見破られたというのか。中原中也は騙されやすい、というイメージで固まっていた私はたいそう驚いた。
「太宰から大量の仕事任されてた時。」
その言葉を聞いた瞬間、私の脳に映像が蘇る。
──太宰さん何やってんだよ、溜めすぎ……
──あいつが帰ってくる迄に絶対終わらせてやる…!!
顔から血の気が引き冷や汗をかき始める
「(あの時居たの……?!)」
「資料探しに太宰の仕事部屋へ行こうとしたら、……だ。お前、可愛いなりして口悪いんだな。」
「…………。」
自慢気な態度が癪に障る。私の注意不足とはいえ目撃されていたとは、と反省したと同時に、ある事に気づいてしまった。
──“太宰幹部にバレたら?”
答えは決まってる、銃殺だ。あいつは中也さんより冷酷だ。拾ってもらったくせに文句ばかり言う反抗児なんてバレたら、殺されても文句は言えない。
やばいの一言が脳内を埋め尽くし、冷や汗をかく。
屹度私は殺されるか、ボコボコのどちらかだ!と。
1175人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ブラコン - かっかッこいいっ兄に思わず抱きつきましたぁ〜。ぶたれたし、抱きつきたくなかったよ〜!けどけど、イラストがッ! (2018年7月21日 22時) (レス) id: e9f72c513a (このIDを非表示/違反報告)
杏 - めっちゃおもしろいですね! 殺せば、勝ちなんだのところ吹きましたwww 渚君www (2018年7月4日 0時) (レス) id: 636a061378 (このIDを非表示/違反報告)
いんこ - 37ページの下らへんに中也のとこで「だうしな」になってます (2018年1月29日 16時) (レス) id: 4376bf785f (このIDを非表示/違反報告)
信乃(プロフ) - イラストかきました。どぞ→ http://uranai.nosv.org/uploader/common/7/6/8/768eaacc1415e24c7349773e07126187.jpg (2018年1月27日 19時) (レス) id: 3baa51b5a2 (このIDを非表示/違反報告)
自殺嗜好(プロフ) - めっさお気に入りです!夢主ちゃんのリアルな突っ込みが気に入ってます!これからも頑張ってください! (2018年1月25日 11時) (レス) id: f37f9cdf35 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:メガネ第2号 | 作成日時:2017年12月31日 19時