苦労の記録22 ページ22
着いてこいと言われ連れてかれた場所は、給湯室だった。マフィアでもこんな場所あるんだと驚きながら洋風扉を開けた彼の後をついて其処に入る。さらに驚いた。
「(なんとも高級感溢れる給湯室ですこと!)」
私の知ってる給湯室じゃないなと感嘆の息を零す。中也さんには座ってろ、と言われたので高級ソファに腰を下ろした。
「マフィアなのに給湯室って珍しいだろ。」
「そうですね。驚きました。」
「マフィアとはいえ、事務仕事もあれば、夜が基本の仕事だ、仮眠室なんてのもある。まぁここの給湯室はそれなりの地位が無ェと入れねぇけどな。」
「(へえ、まぁ、大きいビルだもんな。)」
ぼけっと部屋の調度品に注目していると、中也さんがこちらに来た。
「ほらよ、これ。」
とん、と私の前に無造作に置かれたのはココア。
まだ湯気が出てる。中也さんは向かいのソファに座った。
「え、」
「今日はお疲れさん、って事だよ。」
じゃあこれは、私の。恐る恐るチラ、と中也さんを見ると彼の手には珈琲が。態々ココアを出したということは私の年齢を気遣ってのことだろう。別に飲めるのに。
彼が珈琲を飲むのを見てから、ココアを見た。
「(……。)」
水面には私の顔がゆらゆらと写っている。湯気が顔にあたって温かい。
「(久しぶりだな〜、こういうの。)」
コッチに来てからは誰かとゆっくりした空気なんて、一つも無かったからな、と肩を落とす。ましてや、飲み物を出されることなんて。
ふと脳裏に最近の冬の映像が浮かぶ。
──うーわ、寒い……ね、A帰ったらココア飲まない?
──うん
──あったかいね、A
──お姉ちゃんババくさいよ
「(やっぱり、元の世界に帰りたいな。)」
暫く黙り込む私を不審に思ったのか、中也さんが声を掛けてくる。
「高橋?」
なんだか心配そうなその声にハッとして、私は慌てて喋り出す。
「あ、有り難うございますココア!私これ好きでして、感動してました。いただきますね!」
何してんだ私、怪しい素振りをしてはいけないと慌てて誤魔化すようにココアに口をつける。
「……熱いから気ィつけろよ。」
「あちっ!」
「だから言ったろ。」
中也さんが呆れたように息をついた。
──その後はもう家に帰っていいと言われたので、ココアのお礼をして帰った。中也さんは「明日もあるから確り休んどけよ」と去っていった。彼はまだ仕事があるらしい。
え、明日もあるの?
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ブラコン - かっかッこいいっ兄に思わず抱きつきましたぁ〜。ぶたれたし、抱きつきたくなかったよ〜!けどけど、イラストがッ! (2018年7月21日 22時) (レス) id: e9f72c513a (このIDを非表示/違反報告)
杏 - めっちゃおもしろいですね! 殺せば、勝ちなんだのところ吹きましたwww 渚君www (2018年7月4日 0時) (レス) id: 636a061378 (このIDを非表示/違反報告)
いんこ - 37ページの下らへんに中也のとこで「だうしな」になってます (2018年1月29日 16時) (レス) id: 4376bf785f (このIDを非表示/違反報告)
信乃(プロフ) - イラストかきました。どぞ→ http://uranai.nosv.org/uploader/common/7/6/8/768eaacc1415e24c7349773e07126187.jpg (2018年1月27日 19時) (レス) id: 3baa51b5a2 (このIDを非表示/違反報告)
自殺嗜好(プロフ) - めっさお気に入りです!夢主ちゃんのリアルな突っ込みが気に入ってます!これからも頑張ってください! (2018年1月25日 11時) (レス) id: f37f9cdf35 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:メガネ第2号 | 作成日時:2017年12月31日 19時