まぐねっと。 (ページ3)

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こんびに。ページ3

side S

深夜。白い光を放つその建物に、

俺は吸い込まれるように入っていく。

「いらっしゃいませー…。」

出迎えてくれたのは、アルバイトくんの

気だるげな声。

欠伸をしながらレジに立つその姿を

確認し、飲料コーナーへ足を進める。

…やばい。今日も可愛すぎる。

ある日、立ち寄ったコンビニに居た彼に

一目惚れをしてしまった俺は…

まぁ、こうして毎日通っているわけで。

そろそろ顔ぐらい覚えられてそうだけど。

適当に水やお茶を手に取る。会計の際、

少しでも彼を見る時間が長くなるように。

その他にも食べ物や菓子を買い込み、

ふぅ、と息を吐いてレジの前に立った。

「いらっしゃいませ…えー、水が１点…」

名札に書かれた《二宮》の文字でさえも

愛しい…俺は恐らく重症。

「合計、742円です。」

財布の中から1000円を出す。お釣りを

貰う時、その華奢な手に触れたいから。

レジから小銭を出す姿に見とれていると、

いつものだるそうなものではなく、

少し緊張したような言葉がふってきた。

「あ、の…いつも来てくれて

　ありがとうございます。」

えっ、覚えててくれたんだ…嬉しいような

恥ずかしいような。

「で…これ。もし良かったら。」

控えめに渡されたレシートと258円。

そして…電話番号の書かれた、小さな紙。

顔を上げると、茹で蛸のように赤くなった

二宮くんの姿があった。

神様、仏様。何のご褒美ですか。

俺は見ているだけで良かったのに。

恋が始まる、夜中のこんびに。