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帰り道、シャオロンは一つ気になったことを近くで飛ぶリズに聞いた。
「そういや俺と遭遇した時すげー暗い顔しとったけど、あの顔もさっきのが理由なんか?」
というのは、シャオロンがリズを見つけた時に見た表情は、闇に堕ちた者のそれだったのに、思ったよりも深刻な問題はなかったから。
もしあんな顔をして思っていたことが彼ら曰く可愛い理由なんだとしたら、さすがに落ち込み具合が大袈裟になるが…
「そうだけど」
「いやそうなんかい!!」
本当にただ単に物凄く落ち込んだ結果ああなっただけらしい。それにしては迫真が過ぎるとシャオロンに責められ、ちょっとは反省したリズなのであった。
「さーて、リズにするお仕置も決まったし…」
「えっ?」
「ん?」
「待って、お仕置って何…?」
ここに来て初めてお仕置をされそうになっていることを知り、一体なんのことかシャオロンに聞くと、彼は口角をニィッと上げて言った。
「こんだけ探し回しといてなんの咎めもないなんて思ってないやろなぁ?」
「ひぇ…あの、ゆるして…」
悪巧みを考えている時と大差のない顔を見せられ、リズは一体何をされるのか怯えながら許しを乞うが、勿論シャオロンは許してくれなかった。
「せやなぁ……明日からしばらく俺らから離れるの禁止な!!」
「っ……へ?」
絶対ロクでもないことだと思っていたリズは、意外にも優しめな内容で気が抜けた声を出してしまった。
「散々俺らに心配させた罰や!学校おる時は基本そばにいてもらうで!!」
「………っはは、あんな顔するからどんなキツいの来るのかと思ったら」
ポカンと口が半開いたまましばらく惚けていたリズは、次の瞬間おかしそうに吹き出し、すぐにシャオロンの方を見てこう言った。
───そんなのいくらでもそばに居てあげるよ
100点満点の笑顔で、リズはシャオロンからの「お仕置」を快く受け入れた。
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作者名:真夜 | 作成日時:2023年7月15日 10時