最強だよ！エンダーガールちゃん！II (ページ22)

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♢ ページ22

「はぁぁ……」

　大きなため息をついてベッドに寝転ぶ。カバンは部屋に入るなり早々に床に投げ捨てた。

「………あっ」

　ボーッと天井を眺めていると、ふと何か思いついて、弾かれるように上半身を起こした。

　一枚の紙を持って家の屋根に登り、安定した体勢を取れる場所まで来ると、おもむろに右手の親指を牙でプチッと噛んだ。そうして出てきた血を紙に擦り付け、魔法陣になぞるように丸を描いた。

「……ラファイア」

　魔力を調節して最低限の火力が出るよう、蝋燭に点いた火のような規模の焔で紙を燃やした。

　すると忽ち、リズの周囲は光と風に包まれ、視界が晴れた時には漆黒の身体を持つ龍が召喚主を守るように羽で覆い尽くしながら、この場にいた。

「…エンドラー」

　リズはエンドラーの下顎部分を撫でると、翼を広げて黒龍の背中へと移動した。そして跨った背中を優しくなぞると、そっと口を開いた。

「───夜の散歩に行こうか」

　エンドラーは言葉を発しない。今の言葉にだって、賛成したのか反対したのかすら分からない。しかし、何も言わずに大きな翼を動かしているところから、きっと反対はしていないのだろう。

「ありがとう…エンドラー」

　今だけは否定しないでくれたことに感謝しながら、リズは相棒(パートナー)の背中の温もりを感じ、心が満たされるような…そんなあたたかい気持ちに浸った。