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ある日、いつものようにみんなと処刑玉砲に向けて特訓をしていた時。リズはいつものように遠くまで飛びそうになったボールを先回りでワープして受け止めようとしていた。
ちょうどあの辺かと目星をつけて、
───グギッ……と嫌な音が耳に響いた。
「! …い…ったぁ!」
ワープ先で足をあらぬ方向に捻ってしまい、その場に蹲る。
「リズ!?」
「大丈夫か!?」
一緒に練習していたシャオロン、ゾム、トントンが彼女に駆け寄った。地面に蹲って右の足首を抑え、痛みを堪えるように唸っている。
「っ〜!」
「大丈夫かさっき嫌な音したぞ!」
「リズ、足捻ったんか…? 大丈夫か?」
目尻に涙が浮かんできて、いよいよまずいと感じた三人は、ひとまず回復が得意な先生──ブルシェンコ先生を呼んだ。
「先生! こっちです!」
「一体何事だ…!?」
トントンの案内により駆けつけたブルシェンコ先生は、地面に蹲って足首を抑え痛みをこらえているリズが目に付いた。足を捻ったことによる一時的な痛みか、もしくは本当に捻挫。最悪の場合、骨折も有り得る。
「リズ…!? これは一体どういうことだ…」
「リズの奴っ、ワープしたら足捻っちゃって、それで…!」
アタフタしながら語彙が全く足りていない説明をするシャオロン。全く理解のできない説明だが、ワープという言葉と、足を捻るという単語だけで大方察しはついた。
「……ひとまず、彼女は医務室へ連れていく。お前たちも、遅くならないうちに帰るように」
「は、はい…」
そうしてリズはブルシェンコ先生により医務室へ運ばれ、現在に至る。医術の資格を持つシンペイに「骨折」と判断されたのだから、きっと骨折で間違いないのだろう。
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作者名:真夜 | 作成日時:2023年7月15日 10時