手品２９ ページ30
「俺の話だから参考になるかは分からないけど。できる奴と同じことしようとした時にさ、できないなりに色々頑張ってどうにかしようとするんだけど、どうにも難しいことってのはある。只でさえ難しいことを、初めてで碌な説明もなしにいきなり『やれ』なんて、無茶ぶりにも程がある」
影山が少しだけばつの悪そうな表情をして日向を一瞥する。彼も無茶なことをしているとは思っているようだ。
速攻はセッターとスパイカーの呼吸が重要で、練習を重ねてコンビネーションを作り上げていくのが基本。
影山もそんなことは分かっているだろうが、そんな過程がなくてもできるかもしれないと思ったから多少無茶でも挑戦してるのかもしれない。
それはつまり、影山がそう思えるだけの能力が日向にあるということ。ただ―――
「どれだけ凄いポテンシャルが備わっていようと、それは多分同じだと思うよ。やり方も分からないのに能力の発揮なんか出来っこない」
日向には圧倒的に経験が足りない。
何せ「
そんな奴がこの状況で普通に速攻をやろうとしたって出来る筈がないのは目に見えている。
「だから、そういう時は “できる奴” が手を取って能力を活かしてくれるといいと思うんだ」
「……」
「これで話はおしまい。答えは自分で導いてね」
にこっと笑って手をひらりと振ると、露骨に顔を顰める影山。
遠まわしな言い方だし言葉も足りてないだろうけど、まぁ大丈夫だろ。
「こんな感じでどうですか、スガさん」
「俺には伝わったけど、う〜ん……」
「まあ、大丈夫だと思いますよ。影山ですし」
「……だといいけど」
得点板の傍に戻って影山の方を見ると、彼は小難しい顔でボールを睨むように見つめている。
彼もセッターであるならばちゃんと分かっている筈だ、俺達はスパイカーの為にトスを上げるのだということなんか。
下手くそな俺なんかが一丁前に言えたことじゃないからな。頑張って自分で辿り着け。
暫くして
かと思えば、突然「運動神経が羨ましい」「宝の持ち腐れのお前が腹立たしい」と日向に心の内をぶつけ出した。
戸惑う日向をよそに「それなら」と彼は日向を指さし、話し続ける。
「お前の能力、俺が全部使ってみせる!」
お? 大丈夫か?
「お前の一番のスピード、一番のジャンプで、とべ。ボールは俺が持って行く!」
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狐猫音。(プロフ) - 今までに見たことがない作風と内容がとても面白いです！これからも更新頑張ってください。応援しています。 (2019年2月10日 17時) (
レス) id: 1402817ddd (このIDを非表示/違反報告)
チーズタルト - 続き楽しみにしてます！頑張ってください！！ (2018年12月30日 20時) (レス) id: 6500d8f78f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：音々 | 作成日時：2016年8月14日 20時
