手品２７ ページ28
暫し沈黙が落ちた後、「お前等クイック使えんのか!?」と田中が凸凹コンビに詰め寄る。クイックを知らないらしくキョトンとする日向に彼は必死に説明するも、伝わらないようで肩を落としていた。
それでもやる気に溢れている日向と違い、影山は浮かない顔だ。
相当根深い傷なのかね。
まあ、トラウマは人それぞれあるだろうし、本人の気持ち次第だからな。
日向に背を向けて位置へ戻る影山にまたも月島が挑発を飛ばす。すかさず日向が彼に噛みつくと、彼は日向へと目を移した。
「まァーた、そんなムキになっちゃってさぁ。なんでもガムシャラにやればいいってモンじゃないデショ。人には向き不向きがあるんだからさ。キミ、明らかにスパイカーに向いてないでしょ」
これはまたあからさまな……。俺もそうだろうとは思うけど。
あ、田中がキレ―――大地さん……!
“身長” というバレーボールにおける決定的な不足が自身にあることを、日向は十二分に分かっているようだった。
これまでも何度も高い壁になす術なく負けてきた。今日だって圧倒的なハンデを突き付けられている。
それでも、彼は諦める気は毛頭ないようだ。
「不利とか不向きとか関係ないんだ。この身体で戦って、勝って勝って、もっといっぱいコートに居たい!」
ホント、いい根性してるなぁ。
ウザがるような表情をした月島がこれ見よがしに溜め息を吐いて日向を見下ろす。
「だからその方法が無いんでしょ。精神論じゃないんだって。“キモチ” で身長差が埋まんの? リベロになるならハナシは別だけど」
おお? お前も随分ムキになるな、月島。てっきり呆れて流すかなと思ったけど。
苛立ちをあれ程
山口も少し離れた所から気遣わし気に彼を見つめている。
てか、三人がこれだけ入り組んでるってのに山口大人しいな。１年の苦労人枠はアイツかな。
「……スパイカーの前の壁を切り開く……」
ん、影山?
「その為のセッターだ」
彼は日向の隣に並び、芯のある声で月島に向かってそう告げた。その顔にはいつもの気丈さが戻ったように見える。
あれ程ケンカばかりで頑なに仲間として認めずにいた日向に加勢するだなんて思ってもいなかったので少し驚く。
影山がセッターにこだわるのと同じように、日向もスパイカーであることを切望している。そして勝ちたいという意思がある。
そういうのを認めたってことかね。
俺は目を細めた。
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狐猫音。(プロフ) - 今までに見たことがない作風と内容がとても面白いです！これからも更新頑張ってください。応援しています。 (2019年2月10日 17時) (
レス) id: 1402817ddd (このIDを非表示/違反報告)
チーズタルト - 続き楽しみにしてます！頑張ってください！！ (2018年12月30日 20時) (レス) id: 6500d8f78f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：音々 | 作成日時：2016年8月14日 20時
