手品１０ ページ11
と思ったが、前言撤回する。
昼休み。俺は１年のフロアに足を運んでいた。
目的は影山と話をするためだ。理由が分からないまま敬遠されるのは何だかモヤモヤして嫌だ。
そう思ってここまで来たものの、影山のクラスが分からない俺は立ち往生してしまった。
アイツ何組なんだべなー。教室覗いて違かったら恥ずかしいし、誰かに聞くのがいいかね。
辺りを見回し、窓際でおしゃべりに花を咲かせている女の子達に当たりをつける。
にっこりと笑みを見せて声をかけると、彼女達は一瞬目を瞠ってすぐ人の好さそうな笑顔になった。
「突然お声がけして申し訳ありません。少々お尋ねしたいことがあるのですが、宜しいですか?」
「どうぞ〜!」
「何でも聞いてくださ〜い!」
「ありがとうございます。実はとある後輩を探していて、影山飛雄という名前なのですが、ご存知でしょうか?」
「あ、私同じクラスですよ! １年３組です!」
「これはこれは。やはりあなた方に尋ねて正解だったようだ。感謝致します、Lady」
ショーで見せるbow and scrapeで礼をすると、女の子達は嬉しそうに声を上げた。
早速教えてもらった教室に向かおうと足を向けると、女の子の一人に呼び止められてしまった。
「あの〜、センパイのお名前って何ていうんですか?」
「いえ、名乗る程の者ではありませんよ。ただのしがない奇術師ですから」
「でも〜、ワタシ達もっとセンパイと仲良くなりたいっていうか〜、お近づきになりたいっていうか〜」
「これは、困りましたね」
猫なで声で言い寄ってくる女の子達に両腕を掴まれてしまった。
早く教室に行きたいが、相手は女の子なので乱暴に振り払うことはできればしたくない。
面倒なのに捕まったなぁー……。いつもの奴やるかぁ。
「Lady、この手を離して頂けますか? あなた方にとっておきの贈り物を致しましょう」
きょとんとこちらを見上げる観客の二人に手を開いて見せ、何もないことを証明する。
軽く握った左手を彼女らの前に出し、パチンと右手の指を鳴らす。
そして左手を開いてやると、いつの間にか小さなお花が手の中に。
女の子達は驚きと喜びに興奮し、何度も俺の手と顔を交互に見た。
俺は二輪の花をそれぞれ女の子達に手渡す。
「嗚呼、可憐で愛らしいあなた方によくお似合いです」
とびきりのスマイルでそう告げると、二人とも火が出そうな程に顔を赤くした。
大丈夫そうか? 今のうちに……。
「それでは」
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狐猫音。(プロフ) - 今までに見たことがない作風と内容がとても面白いです！これからも更新頑張ってください。応援しています。 (2019年2月10日 17時) (
レス) id: 1402817ddd (このIDを非表示/違反報告)
チーズタルト - 続き楽しみにしてます！頑張ってください！！ (2018年12月30日 20時) (レス) id: 6500d8f78f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：音々 | 作成日時：2016年8月14日 20時
