嘘32 ページ33
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「ねえA」
不二先輩が静かに私の名前を呼んだ。
私は返事をする代わりに、彼を見上げた。
「今度一緒にテニスやらない?」
突然の誘いにキョトンとしてしまった。
確かに私はテニスをしていたが、それは昔の話だ。
「君はテニスが好きだったんでしょう?
もう一度、やってみたいとは思わない?」
私は黙って前を見つめた。
もう一度、そう思ったことはあっただろうか。
毎日のようにテニスコートを眺めていた本当の理由は何だったろうか。
「…やりたいです。
やりましょう、テニス」
何も難しいことなんて考える必要ない。
ただ、昔の様にテニスをやってみたい。
「うん、やろう」
そう言って笑う不二先輩の顔が、何故だか司の笑顔と重なって見えた。
「ふふ、実は私結構上手かったんですよ、テニス」
「うん、知ってるよ」
その返事に驚いてしまった。
なぜ知っているのだろう。
「君の従兄から聞いたよ。
君の言ってた"兄さん"って、立海の幸村だろう?」
ああ、そうか。
運動部は大会とかで他校と交流があるのか。
「そうですよ。
そっか、聞いたんですね。
兄さんもお喋りだわ」
余計なことまで話してないか少し気がかりだけど、きっと従兄は配慮してくれているだろう。
「幸村にね、言われたよ。
Aを宜しく頼むって。
彼女は強がってるけど只の弱虫だからって」
流石は従兄だ。
非常に苛つくけど、的を射ている。
「何だかんだ言って、幸村は君のことが大切なんだよ。
本当の兄のように、君を心配してるんだ」
それも、分かっている。
従兄だけは、最初から私の本心を分かっていた。
「今度彼と会うことがあったら、Aは元気だよ、ちゃんとやってるよって伝えといて下さい」
私の言葉に、不二先輩はゆっくりと頷いた。
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エル(プロフ) - Jokerさん» ありがとうございます!そう言ってもらえるととても嬉しいです( ´∀`)更新頑張ります! (2016年12月6日 22時) (レス) id: 4de2819dbd (このIDを非表示/違反報告)
Joker(プロフ) - 面白いです、頑張ってください! (2016年12月6日 17時) (レス) id: c017e395ea (このIDを非表示/違反報告)
エル(プロフ) - soraさん» ありがとうございます!頑張ります(*≧∀≦*) (2016年11月22日 12時) (レス) id: 4de2819dbd (このIDを非表示/違反報告)
sora - 続きが気になります!頑張ってください! (2016年11月19日 10時) (レス) id: 7628f733c9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:エル | 作成日時:2016年11月17日 19時