嘘20 ページ21
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きっと皆、私を知らない。
桐谷Aがどんな人間か、誰一人知らない。
だから―
｢不二先輩、貴方の気持ちには答えられません｣
いくら貴方が私を愛すと言っても、貴方が見てきたのは私じゃない。
それは、紛れもない事実でしょう？
｢…でも、貴方が本当の私を見て、それでも好きと言ってくれるなら、その時は考えさせて下さい｣
不二先輩には感謝している。
だからこそ、流されていい加減な返事をするのは嫌だ。
この人の気持ちとも、ちゃんと向き合いたい。
｢分かったよ｣
不二先輩が、優しく微笑んだ。
彼の手が私の髪をそっと撫でていく。
｢ずっと待ってたんだ、本当の君に会えるのを｣
この人はどうしてこんなに優しいんだろう。
ただの他人を、何故ここまで受け入れようとしてくれるのだろうか。
｢…不思議な人ですね｡
私に貴方はもったいないわ｣
貴方みたいな良い人に、私のような悪い子は似合わない。
冷酷とまではいかなくとも、私は決して優しくなんてないのだから―
―他人なんてどうでもいい
そう思っているのは、嘘じゃないのよ。
でも、それでいいじゃないか―
｢自己中で面倒くさがり。
それが、私なんですよ｣
言葉にして、Aという人間を再確認しよう―
｢双子の弟をこよなく愛すブラコンです｣
ふふ、なんて滑稽なの―
でも、今の私は嫌いじゃない。
以前も私は、自分の思うがままに生きていたはずだ。
｢初めまして、桐谷Aです｣
私は彼に手を差し出す。
この人が、私の初めてのお友達だ。
｢初めまして。
これからよろしくね、Aちゃん｣
彼はクスリと笑って私の手を握り返した。
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エル(プロフ) - Jokerさん» ありがとうございます！そう言ってもらえるととても嬉しいです( ´∀｀)更新頑張ります！ (2016年12月6日 22時) (
レス) id: 4de2819dbd (このIDを非表示/違反報告)
Joker(プロフ) - 面白いです、頑張ってください！ (2016年12月6日 17時) (レス) id: c017e395ea (このIDを非表示/違反報告)
エル(プロフ) - soraさん» ありがとうございます！頑張ります(*≧∀≦*) (2016年11月22日 12時) (レス) id: 4de2819dbd (このIDを非表示/違反報告)
sora - 続きが気になります！頑張ってください！ (2016年11月19日 10時) (レス) id: 7628f733c9 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エル | 作成日時：2016年11月17日 19時
