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頭では考えが浮かんでいても うまく言語化できずに黙り込む私に、日高さんは一息ついた。
「Be Freeのメンバーね」
「あ、はい」
「ソウタ、レオ、マナト、ジュノン、レイちゃん、ルイに決まりました」
何となく内緒にされてる感じがしたから、いつ知らされるのかと思っていたらわりとあっさりと伝えられて、目を見開いて頷いた私を見て日高さんが笑い声を上げる。
……私が勘ぐり過ぎただけかも知れない。
(……舜斗とショウタくんは、Move Onか…)
無意識に2人のことを考えていた。
Cチームでグループをまとめていただけあって、やっぱり2人と一緒ならやりやすいだろうなと感じていたのだろう。
そんな私の心中を知ってか知らずか、日高さんは指折りをしながら話を続ける。
「ジュノン、レイちゃん、ルイは総合力というより一芸を持った3人で、ミヅキはどちらかというとまだ、こっち寄り。
それに対してソウタ、マナト、…どちらかと言うとレオもかな。長い期間で確実にスキルを磨き上げて、今のミヅキに足りてない 安定した土台を持ってるよ。
この対比が見れるチーム構成っていうのが僕としては面白いところ」
その“面白いところ”が、こちらとしては怖いところ。
「経験値に大きな差があるのが今回のBe Freeチームだ。未経験者にとってそれは厳しい環境ではあるけど、同時にこれまでにない大きな成長を掴むチャンスでもある。
ダンスに関しては経験者達の技術を沢山盗んでほしいし、マナトやジュノンと歌でバチバチに刺激し合ってほしい」
「……はい」
「そういう環境下で、ミヅキの高すぎるポテンシャルに技術を追いつかせること。それが今回君に課す最低限のボーダーライン、です」
ああ良かった。私が自分自身で感じていた課題と、日高さんが今回私に求めているものが合致している。
これ程までに課題克服までに指針を定めやすい事もないだろう。
つまりは、
「今回こそが、“ダンスの基礎”ですね」
悟ったように断言した私に、日高さんは少し苦笑して「そう」と頷いた。
今までは“歌”という強みでスルー出来ていた課題を、ここにきて具体的な環境を作ってまで提示してきたのだ。
ここで克服できないようであれば、私はきっと次には進めない。
ピリッとしたプレッシャーは感じる。
でも、目先にあるのは結局、地道な努力なのだ。
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rinngo(プロフ) - 読んでて茨木市が出てて、近所で驚きました。みんな口調似てるしいつも日高さんの言葉が深く刺さってきます!まじでこの小説だ好きです! (12月1日 12時) (レス) @page22 id: 589479bc12 (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - 夢萌さん» こんにちは!いつもありがとうございます(^^) めちゃめちゃ嬉しい言葉!すっごい励みになります♡ 思いの外プライベートが忙しくなってしまって、マイペース更新ですが…ぜひこれからも楽しんでいっていただければと思います! (2022年3月30日 0時) (レス) id: b25d4639e4 (このIDを非表示/違反報告)
夢萌(プロフ) - 更新ありがとうございます!!お気に入りにNewの文字があるだけでいつもよりわくわくとした一日になるほどにこの小説に惚れています…笑もうファンといってもいいほどにこの小説が大好きです!作者様のペースでこれからも更新頑張って頂きたいです^っ ̫ <^ (2022年3月29日 18時) (レス) @page19 id: e4933e1f9f (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - なあさん» なあさんこんにちは!楽しんでいただけて嬉しいです(^^) ちょっとずつマイペース更新になってしまっていますが汗 これからもよろしくお願いします! (2022年3月28日 22時) (レス) id: b25d4639e4 (このIDを非表示/違反報告)
なあ(プロフ) - 思わず笑ってしまう面白い場面がちょこちょこあって、楽しんで読んでおります!みんなとてもかわいいです、素敵なお話いつもありがとうございます! (2022年3月28日 17時) (レス) id: b86f0e9c1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白 | 作成日時:2022年3月21日 17時