144 ページ49
.
夕飯後、私は食堂の椅子に座って窓から外を眺めていた。見た目に反して小食気味なレオくんがまだ食べ終わっていないので、今はそれを待っている状態だ。
「練習行かんの?」
食器を片付けたマナトくんが、不思議そうな顔をして戻ってきた。いつもなら食休めもそこそこに練習室に向かう私が、こうしているのが珍しいんだろう。
先程舜斗にも同じ事を聞かれたので事情を話したら、「なるほどね」と頷いて自分はさっさとテンくんと練習室に行ってしまった。
「レオくんを待ってるんです」
「レオくん?」
「はい。マナトくんも、この後少し時間いいですか?」
「えーなになに。あ、待ってね、何するか当てるわ」
椅子に座って頭を抱え始めるマナトくん。
例え当てられたとして、「正解!」と言えるほど大した用事じゃないんだけどなぁ。「わかった!肝試しっしょ」と顔を上げたマナトくんに、正面の席に座ってたレオくんが
「やだ!肝試しはやだ!」
震える声で私を見た。
「違いますよ。私も心霊系本当に無理なんで考えてもないです大丈夫」
「へえ、ミヅキの弱点みっけ」
「悪戯したらタダじゃおかないです」
「おーこわっ!」
話に入ってきたソウタくんが、全然怖そうじゃない笑顔で両腕を抱えている。わざとらしくブルブル震えないでください。そんなとこで変なスキル見せないで。
「あっ、ジュノンくん!レイちゃんも」
「??」
「ちょっと待ってください」
こっちこっちと手招きしたら、食堂から出て行こうとする足を引き返して、2人が近寄ってきた。
「まじで何するん?てかルイは?」
「懐中電灯借りに行ってもらってます」
「肝試しやん!」
「違うって」
何が楽しいのか。…ホラーが好きなのか、ニヤニヤしているマナトくんの言葉で、いちいち震え上がるレオくんに「安心してください。絶対違います」と言い聞かせた。
レオくんが食べ終わるのを待っているのに、レオくんの食欲が無くなっていってて、マナトくんの悪ノリにかなり迷惑被っている。
「静かに待っててください。ハブきますよ」
「いじめじゃねーか」
.
180人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
rinngo(プロフ) - 読んでて茨木市が出てて、近所で驚きました。みんな口調似てるしいつも日高さんの言葉が深く刺さってきます!まじでこの小説だ好きです! (12月1日 12時) (レス) @page22 id: 589479bc12 (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - 夢萌さん» こんにちは!いつもありがとうございます(^^) めちゃめちゃ嬉しい言葉!すっごい励みになります♡ 思いの外プライベートが忙しくなってしまって、マイペース更新ですが…ぜひこれからも楽しんでいっていただければと思います! (2022年3月30日 0時) (レス) id: b25d4639e4 (このIDを非表示/違反報告)
夢萌(プロフ) - 更新ありがとうございます!!お気に入りにNewの文字があるだけでいつもよりわくわくとした一日になるほどにこの小説に惚れています…笑もうファンといってもいいほどにこの小説が大好きです!作者様のペースでこれからも更新頑張って頂きたいです^っ ̫ <^ (2022年3月29日 18時) (レス) @page19 id: e4933e1f9f (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - なあさん» なあさんこんにちは!楽しんでいただけて嬉しいです(^^) ちょっとずつマイペース更新になってしまっていますが汗 これからもよろしくお願いします! (2022年3月28日 22時) (レス) id: b25d4639e4 (このIDを非表示/違反報告)
なあ(プロフ) - 思わず笑ってしまう面白い場面がちょこちょこあって、楽しんで読んでおります!みんなとてもかわいいです、素敵なお話いつもありがとうございます! (2022年3月28日 17時) (レス) id: b86f0e9c1f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:白 | 作成日時:2022年3月21日 17時