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びしょ濡れの私を見て、わははっと笑いながらソウタくんとマナトくんが大きめのタオルを持ってきてくれた。ショウタくんが「気でも狂ったの?」と舜斗の手からホースを取り上げる。
よかった、舜斗以外のみんなは水遊びするには季節が早過ぎると知っているみたいだ。
「ココア淹れてよ」
「あ?偉そうに」
「ねぇ、誰のせいでこんな震えてると思う?」
乾いたタオルで服を絞りながら、同じく舜斗にびしょ濡れにされたリョウキくん、ランくんとともに石油ストーブを囲う。スタッフさんに「あらまあ…」と困った顔をされたのが数分前。
待ってください、やんちゃなのは私じゃないです。
「ココアなきゃやだ。ココア淹れてくれなきゃ許さない」
「はぁ…んなもん あるわけないだろ」
「あるよ」
「「え?」」
食堂の厨房の方から、割烹着を着たおばちゃんがニッコリとこちらを見て「あるわよ」と声をかけてきた。
「やったー!」と明るい声をあげれば、ランくんが「ココア好きなんだ?」と聞いてきた。
「好きです。あったかい甘々のやつ」
「…あ、そういえば、缶ジュースも」
リョウキくんがハッと舜斗を指差す。
もしかしなくても、3次審査のときのこと思い出しているな。舜斗はそのリアクションを特に相手する事なく、「仕方ないな…」とかったるそうに厨房に入っていった。
リョウキくんはその姿を指差したまま追って、うんうんと頷く。
「ミヅキは大事にされてんねー」
「What're you talking about?」
皮肉混じりに英語を口にしたら、「ワォ!」と嬉しそうな声を上げるリョウキくん。私が誰に大事にされているというのだ。まさかこのびしょ濡れの状況見て、“舜斗に”とか言わないよね。目ん玉くり抜いてホースで洗わなきゃいけなくなるよ。
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rinngo(プロフ) - 読んでて茨木市が出てて、近所で驚きました。みんな口調似てるしいつも日高さんの言葉が深く刺さってきます!まじでこの小説だ好きです! (12月1日 12時) (レス) @page22 id: 589479bc12 (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - 夢萌さん» こんにちは!いつもありがとうございます(^^) めちゃめちゃ嬉しい言葉!すっごい励みになります♡ 思いの外プライベートが忙しくなってしまって、マイペース更新ですが…ぜひこれからも楽しんでいっていただければと思います! (2022年3月30日 0時) (レス) id: b25d4639e4 (このIDを非表示/違反報告)
夢萌(プロフ) - 更新ありがとうございます!!お気に入りにNewの文字があるだけでいつもよりわくわくとした一日になるほどにこの小説に惚れています…笑もうファンといってもいいほどにこの小説が大好きです!作者様のペースでこれからも更新頑張って頂きたいです^っ ̫ <^ (2022年3月29日 18時) (レス) @page19 id: e4933e1f9f (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - なあさん» なあさんこんにちは!楽しんでいただけて嬉しいです(^^) ちょっとずつマイペース更新になってしまっていますが汗 これからもよろしくお願いします! (2022年3月28日 22時) (レス) id: b25d4639e4 (このIDを非表示/違反報告)
なあ(プロフ) - 思わず笑ってしまう面白い場面がちょこちょこあって、楽しんで読んでおります!みんなとてもかわいいです、素敵なお話いつもありがとうございます! (2022年3月28日 17時) (レス) id: b86f0e9c1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白 | 作成日時:2022年3月21日 17時