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ランくんは気の抜けた声を出しながら、ニヤリと笑って私の顔を覗き込む。いやぁ何考えてるかわからないけど、ほんと顔がいいなこの人。
「セクシーさが出てきたと?」
「え、……あ、はい」
「ほぉん。嬉しいねぇリョウキくん」
「ねっ。── 迷うな、セクシーなの、キュートなの」
「「どっちが好きなの?」」
急に息を合わせる2人。
純情な乙女心弄んでそうな人達が何歌ってんだ。
「ちょ、めちゃくちゃ言うじゃん」
やば。声に出てた。
流石に偏見が過ぎたと平謝りしたら、それに付け入るようにちょっかいを出してくる2人。仲良いですね?とくに人を弄ってるとき、イキイキしてるね。
止まらない年上2人のイジリにタジタジしていたら、突然後ろから“プシャーッ!”という音と共に、腰の辺りに冷たい感触。ビックリして悲鳴をあげる。
「おーいー!シュントー!」
パッとランくんの身体が離れて、非難めいた声が私の幼馴染の名前を呼んだ。釣られるようにその視線の先を見たら、水が滴るホースを片手にいい笑顔の舜斗が立っていて。
「サボり魔」
はははっと、そう言って。
立ち向かっていったランくんとリョウキくんに向かって、さらにホースを振り回す。お陰様で巻き込まれるのが彼らの近くにいる私である。
ちょっと、信じられないんですけど!
「舜斗!やめて!」
「ははははーっ」
「ちょっと、ねえっ!こっちに向けてる!」
軽快な笑い声を上げ、いつの間にか私にホースを向けている舜斗。悲鳴を聞きつけたニコちゃんやレオくんの姿が視界の隅に見える。
「ミヅキ?!どういう状況?」
「状況把握いいから助けてください!風邪ひいちゃう!」
「まーたミヅキちゃんとシュントくんがイチャイチャしてるー!」
「違うんですけど?!」
ニコちゃんの目には常時ピンクのフィルターでもかかってるのかな。ハイになっちゃってる舜斗と虐められてる私だよ?イチャイチャなのこれ。どういう恋愛バラエティショー?
「っ、舜斗!これ以上やるなら…絶交だからね…!!」
冷たい水を受けながら絞り出すように叫んだら、やっとホースの水が弱まった。
「……何考えてんのバカ」
「そっちがサボってるからだろー」
「私はもう自分とこ終わってたもん」
「こっち手伝えよ」
「てーつーだーうーつもりだったよ!今の今までは!」
着ている服をびっしょびしょにされるまではね。
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rinngo(プロフ) - 読んでて茨木市が出てて、近所で驚きました。みんな口調似てるしいつも日高さんの言葉が深く刺さってきます!まじでこの小説だ好きです! (12月1日 12時) (レス) @page22 id: 589479bc12 (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - 夢萌さん» こんにちは!いつもありがとうございます(^^) めちゃめちゃ嬉しい言葉!すっごい励みになります♡ 思いの外プライベートが忙しくなってしまって、マイペース更新ですが…ぜひこれからも楽しんでいっていただければと思います! (2022年3月30日 0時) (レス) id: b25d4639e4 (このIDを非表示/違反報告)
夢萌(プロフ) - 更新ありがとうございます!!お気に入りにNewの文字があるだけでいつもよりわくわくとした一日になるほどにこの小説に惚れています…笑もうファンといってもいいほどにこの小説が大好きです!作者様のペースでこれからも更新頑張って頂きたいです^っ ̫ <^ (2022年3月29日 18時) (レス) @page19 id: e4933e1f9f (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - なあさん» なあさんこんにちは!楽しんでいただけて嬉しいです(^^) ちょっとずつマイペース更新になってしまっていますが汗 これからもよろしくお願いします! (2022年3月28日 22時) (レス) id: b25d4639e4 (このIDを非表示/違反報告)
なあ(プロフ) - 思わず笑ってしまう面白い場面がちょこちょこあって、楽しんで読んでおります!みんなとてもかわいいです、素敵なお話いつもありがとうございます! (2022年3月28日 17時) (レス) id: b86f0e9c1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白 | 作成日時:2022年3月21日 17時