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Oguriさんのアシスタントである三川屋さんによるレッスンは、お昼ご飯を食べた直後から2時間程度行われ、その後は各自での自主練習となった。
各自で…といっても、ほとんどみんな考えることは同じで、自然とフォーメーションを合わせながら、レコーディングで指摘された歌い方を意識して本番に近いパフォーマンスを繰り返し行った。
「………あ、」
「ん、どうした?」
休憩時間に地べたに座って、マナトくんとルイと直前に撮った動画を見返していたとき、ふと声を出して顔を上げてしまった。
マナトくんが不思議そうにこちらを見る。思ったよりその場に響いた声に、ジュノンくんやレオくんの視線もこちらに向いた。
「…………いえ、なんでもないです」
「気になるわぁ」
「大したことじゃないんです」
「大した事じゃないなら言ってよ」
ああ言えばこう食い下がるマナトくん。どしたどした、とレオくん達も近寄ってきて、いよいよはぐらかすにはキツい空気になってきた。
「揃ったなぁ、と思ったんです」
「なにが?」
「Move Onの足音。初めて揃ったんですよ、今」
そう言った瞬間、パーテーションの向こう側から、今日イチの歓声が聞こえてきた。「よっしゃー!」リョウキくんだかランくんだかの嬉しそうな叫びも聞こえる。
「「「…………」」」
「……すげーな、ミヅキ」
「私も今ちょっと自分でビビりました」
全員でパーテーションの方を向いて、私の言葉を裏付けるような賑わいに耳を傾ける。
ちょっと前までバラバラだった足音は、舜斗がげっそりした顔で「どちゃくそムズイ」と言っていたダンスブレイクのところが特に顕著で。
それがここ1時間で急激に揃ってきたなと思っていたら、今の今、7人の足音がピッタリと重なっていたのだ。これは本当に気持ちいい。今のパフォーマンスは動画に撮ったのかな?あとで見せてもらいたいな。…いや、だめだ。見たら覚えちゃう。
「足音か、なるほどなー。ちなみに俺たちのはどんくらい揃ってる?」
レオくんが感心したように聞いてきて。これを聞かれる気がしたから、言いたくなかったんだよなぁと思う。
「…………」
どう言おうか考えて黙り込んだ私に、「そんなやべーの?」と顔を覗き込むマナトくん。やべー自覚は、あるのですね。
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rinngo(プロフ) - 読んでて茨木市が出てて、近所で驚きました。みんな口調似てるしいつも日高さんの言葉が深く刺さってきます!まじでこの小説だ好きです! (12月1日 12時) (レス) @page22 id: 589479bc12 (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - 夢萌さん» こんにちは!いつもありがとうございます(^^) めちゃめちゃ嬉しい言葉!すっごい励みになります♡ 思いの外プライベートが忙しくなってしまって、マイペース更新ですが…ぜひこれからも楽しんでいっていただければと思います! (2022年3月30日 0時) (レス) id: b25d4639e4 (このIDを非表示/違反報告)
夢萌(プロフ) - 更新ありがとうございます!!お気に入りにNewの文字があるだけでいつもよりわくわくとした一日になるほどにこの小説に惚れています…笑もうファンといってもいいほどにこの小説が大好きです!作者様のペースでこれからも更新頑張って頂きたいです^っ ̫ <^ (2022年3月29日 18時) (レス) @page19 id: e4933e1f9f (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - なあさん» なあさんこんにちは!楽しんでいただけて嬉しいです(^^) ちょっとずつマイペース更新になってしまっていますが汗 これからもよろしくお願いします! (2022年3月28日 22時) (レス) id: b25d4639e4 (このIDを非表示/違反報告)
なあ(プロフ) - 思わず笑ってしまう面白い場面がちょこちょこあって、楽しんで読んでおります!みんなとてもかわいいです、素敵なお話いつもありがとうございます! (2022年3月28日 17時) (レス) id: b86f0e9c1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白 | 作成日時:2022年3月21日 17時