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その後ジュノンくん、レイちゃん、ルイと順調に進み、残るはソウタくんだけになった。
「ソウタはちょっと時間かかるから……よし、ミヅキ先やろうか」
「はい!」
「じゃあ、はいこれ」
日高さんが出したのはBe Freeの歌詞カード。個人面談のときにもらったのと同じ、パートごとに色分けされたA4用紙だ。
日高さんはそれを私の手に持たせて、一緒に覗き込んでくる。
「今の歌割り以外に、コーラスを足したい部分はある?」
「コーラス、ですか?……うーん………」
歌詞カードに目を落とす。日高さんの真意は分からないけど、今まで5人の歌を聞いていて、自分ならどんなハモリを入れるかな…と考えて、カードの一節を指差す。
「ここに、上ハモリとか、入れてみたいです」
そう言いながら視線を上げたら、思ったより近いところに日高さんのキラキラの目があった。綺麗すぎる顔が間近にあった事にびっくりして息を呑む。
その動揺は幸いにも日高さんには伝わっていないようで、「……やってみたい?」とニッコリ聞いてきた。
「やりたいです」
「よし。じゃあやろう。ついでに他のとこももう一回撮ろう」
「わかりました」
椅子から立ち上がってマイクの前に立ってから、「日高さん」とパソコンに向き直った彼に声をかける。
「ん?」
「追加ではないんですけど……変更したいところがあって」
「変更?コーラスを?」
「はい」
「いいよ。ミヅキの好きなようにやってみよう。一回一曲通してみる?」
「そっちの方がやりやすいかもです」
「だよね、そうしよう。音源、メンバーの声入りのやつもあるけど」
「それがいいです」
『変更したい』なんて言ったらどんな顔されるかと心配したが、日高さんはノリノリだった。「ちょっと待ってね、ルイのもすぐサンプリング終わるから」とパソコンをカタカタ鳴らした後、OKサインを作って私にヘッドホンをするよう促した。
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rinngo(プロフ) - 読んでて茨木市が出てて、近所で驚きました。みんな口調似てるしいつも日高さんの言葉が深く刺さってきます!まじでこの小説だ好きです! (12月1日 12時) (レス) @page22 id: 589479bc12 (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - 夢萌さん» こんにちは!いつもありがとうございます(^^) めちゃめちゃ嬉しい言葉!すっごい励みになります♡ 思いの外プライベートが忙しくなってしまって、マイペース更新ですが…ぜひこれからも楽しんでいっていただければと思います! (2022年3月30日 0時) (レス) id: b25d4639e4 (このIDを非表示/違反報告)
夢萌(プロフ) - 更新ありがとうございます!!お気に入りにNewの文字があるだけでいつもよりわくわくとした一日になるほどにこの小説に惚れています…笑もうファンといってもいいほどにこの小説が大好きです!作者様のペースでこれからも更新頑張って頂きたいです^っ ̫ <^ (2022年3月29日 18時) (レス) @page19 id: e4933e1f9f (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - なあさん» なあさんこんにちは!楽しんでいただけて嬉しいです(^^) ちょっとずつマイペース更新になってしまっていますが汗 これからもよろしくお願いします! (2022年3月28日 22時) (レス) id: b25d4639e4 (このIDを非表示/違反報告)
なあ(プロフ) - 思わず笑ってしまう面白い場面がちょこちょこあって、楽しんで読んでおります!みんなとてもかわいいです、素敵なお話いつもありがとうございます! (2022年3月28日 17時) (レス) id: b86f0e9c1f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白 | 作成日時:2022年3月21日 17時