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「やばいっすね怪物ちゃん!」
3次審査2日目の午後。teamBの部屋から出た途端に大輝が興奮気味に声を上げた。およそ20時間で歌の完成度はもちろんの事、ダンスについても精度を上げてきたAの魅力は、僕の盟友達にも簡単に伝わったらしい。
「でしょ」
「あんな子今までどこに隠れてたんすか」
「独学って言ってたでしょ」
慶太の言葉に「そうだった、やべえなマジで」と語彙力が崩壊しかかっている大輝。なんだかその反応に、僕が誇らしくなってしまう。
「いやぁ、もしも落ちちゃったら、僕が貰っちゃいたいです」
「……何言ってるの。手放すわけないでしょ」
冗談のつもりで言ったであろう大輝に、自分でも驚くほどの低い声が出る。「「えっ」」と声を合わせてこちらを見る2人。
「……勝ち確演出?」
慶太は、オーディションの最中にあるまじき台詞を吐いた俺にボソッと耳打ちする。違う、そういう事じゃなくて。
「今回のグループに入れるかは別として、あんな才能を他に渡したら僕は後悔する。何を差し出してでも、絶対に一緒に音楽をやらせて欲しい」
そうだ。いくら才能があるからといって、このオーディションはボーイズグループを作るためのもので、その中に女子メンバーが入るかどうかは現時点で確約ではない。
Aの才能は唯一無二のものではあるが、それが今回のグループに必要なものなのかは計りかねる。だからこそ、彼女の未来について色々と考えてしまうが。
思いつく先のどれをとっても、僕が彼女を手放す事だけは無いだろう。……まあ、彼女が自分から離れていくなら話は別だけど。そのときだって僕は全身全霊をかけて彼女を引き止める気がする。
「惚れてるねぇ」
「かなりね」
慶太はニヤリと笑った。大輝が「じゃあちょっとくらいは、僕に貸してくださいね」と懲りもせず言ってくるもんだから、普段暴力反対なわけだけど、軽く腰の辺りをど突いておいた。
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白(プロフ) - なあさん» こんにちは!たくさん読んでくださって嬉しいです(^^)今ちょうどブック3を準備中なので、今日の夜か明日には更新できるかと思いますので是非お待ちください♡なあさんもお身体お気を付けてください(๑˃̵ᴗ˂̵) (2022年3月21日 13時) (レス) id: b25d4639e4 (このIDを非表示/違反報告)
なあ(プロフ) - 何度も繰り返し読み返すほど、どのお話も好きです!これからのお話も楽しみにゆっくり待機します〜!最近、寒暖差が激しいのでお体に気をつけてくださいね! (2022年3月20日 23時) (レス) id: b86f0e9c1f (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - 雲さん» はじめまして、コメントありがとうございます(^^)夢主ちゃんショウタくん信者なので、つい出ちゃったんでしょうねー。笑 マナトくんほんとどんな空気にも合うので動かしやすく書きやすく、沢山出しちゃってます笑 これからもよろしくお願いします! (2022年3月17日 18時) (レス) id: b25d4639e4 (このIDを非表示/違反報告)
雲 - はじめまして、「ショウタくんを出せ」に爆笑して思わずコメントしました。マナティ推しですがめちゃくちゃ楽しく読ませていただいてます!シュント身内的な女の子にはこんなあしらいしてそうって想像出来るし、マナティ成分も高めで嬉しいです!続き楽しみにしてます! (2022年3月17日 16時) (レス) @page39 id: 2da972bf1d (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - アキさん» はじめまして!自家発電笑いました(^^)楽しんでいただけて何よりですっ!シュントくん推しの自己満足満載ですが、これからもどうぞよろしくお願いします! (2022年3月15日 0時) (レス) id: b25d4639e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白 | 作成日時:2022年3月4日 17時