マジックアワー2【THE FIRST】

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「みづが、普段あんま表情変えないこと、気にしてた」

「………」

「3次審査までは緊張してるんだと思って気にならない程度だったんだろ。でも、合宿来てからも全然様子変わらないから。


それに……」

「、撮影のときの？」

「うん、多分」




アー写撮影のとき、きっと日高さんは気付いているんだろうと、どこかでは分かっていた。でも知らないふりをしてYOLOを歌ったら、日高さんはいつもと変わらず表現力を誉めてくれて。ああ大丈夫だって…安心してたんだけどな。

「そっか…」ため息を吐くように相槌を打つ。




「原因聞かれたから、知らないって答えといた」

「うん」

「そんだけです」

「わかった。ありがとう」




私の受け答えがあまりにアッサリしてたからだろうか。パッと視線をこちらに向けて、伺うように…というよりはガン付けるように、私は見えたんだけど。そんな感じで舜斗は「それだけ？」と聞いてくる。




「え、うん」

「なんか俺に言うことないの」

「えー？」

「『勝手に話してんじゃないわよ』とか」

「そんな事私が言うと思う？そもそも舜斗はなんも話してないじゃん」

「お前と幼馴染ってことゆっちゃった」

「ああ、そう……まあ別にそれは」




いずれバレる？…知れ渡ることだっただろうし、そこまで気にしない。
なんとなく、昨日の審査後辺りから“幼馴染”って言われることの気まずさを舜斗から感じなくなったのは、日高さんにぶっちゃけた後だったからなのかな。




「評価に関わるかも、とか思わないの？」

「んー、それはあんま、考えてなかったかな」




というより、考えないようにしている。というのが本音である。
私の反応に納得できないのか、私以上に難しい顔をしている舜斗。




「……」

「……なに？」

「嘘つかないでって言ったよね。頼れって」

「……、」

「俺に、言うことないの？みづ」




舜斗から一方的に言われたあの一連の言葉は、彼の中で勝手に“約束事”のようなものになっているらしい。


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