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「「「お風呂ご馳走様でした」」」
ロビーに参加者の声が響いて、日高さんは満足そうに2階に上がっていった。
山中湖近くの温泉は露天風呂付きの銭湯で、宿舎の大浴場とはまた違った開放感があり、今日1日の疲れがお湯に溶けていくようだった。
「ミヅキ今日も夜練するん?」
ミヤビさんに聞かれて、首を横に振る。
「流石に今日は…、寝ようかと…」
そういった最中にあくびが出て、噛みころすようにしたら、目尻がじんわりとした。
「ほな部屋戻ろか」
ミヤビさんとニコちゃんに促され、他の参加者にお休みを言って部屋へと向かった。
部屋に入るとお風呂に行く前に敷いた布団が目に入ってきて、思わず条件反射でそこに飛び込む。ニコちゃんも同じように隣に飛び込んできた。
「このまま寝ちゃえるぅ……」
その言葉に深く頷いた私だったが、「あかんでニコ、歯磨きや?」とミヤビさんに言われて、寝てしまいそうなところをなんとか起こして歯を磨く。
時刻は22時過ぎ。
「女子会しましょっ!」
「??」
「ええやん」
パジャマに着替えたニコちゃんが、部屋の電気を消しながらそう言って、ミヤビさんもそれに同調する。(え?どういうこと?)と思っていたら、布団に寝っ転がったミヤビさんが「ほらミヅキも早く」と、催促してきた。
「3人の夜は最後やし、お話ししよ」
「えっ……」
「明日はうちらの中の誰かが脱落するやろ……だから、今日は寝落ちするまでたくさん話すねん」
ミヤビさんの言葉を聞いて、思わず布団の上にペタンと尻を付けて座る。
そうか…この3人でいられるの、明日で最後なんだ…。
「ミヅキちゃんいつも中々夜いないから、嬉しいです!」
「っ、ごめん…」
「えっ泣いてます?」
「…いや、泣いてない」
もっと沢山、この2人との時間を取っていれば良かった。
折角出会えた、同じ夢を目指す女の子。
練習ばかりにかまけて、そう言えばほとんどちゃんと、語り合うこともなかったな…。
途端に寂しい気持ちが溢れて、黙り込んでしまった私の頭を、ミヤビさんから伸びてきた手のひらが撫でる。
「今日は寝かせへんで?」
ニッと笑ったミヤビさん。
我慢できなくなった私は、思わずその体に抱きついた。
それを見ていたニコちゃんも「ずるいー」と言いながら擦り寄ってきて。
狭い布団の中で3人、身を寄せ合いながら話した女子会は、真夜中過ぎまで続いたのだった。
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白(プロフ) - なあさん» こんにちは!たくさん読んでくださって嬉しいです(^^)今ちょうどブック3を準備中なので、今日の夜か明日には更新できるかと思いますので是非お待ちください♡なあさんもお身体お気を付けてください(๑˃̵ᴗ˂̵) (2022年3月21日 13時) (レス) id: b25d4639e4 (このIDを非表示/違反報告)
なあ(プロフ) - 何度も繰り返し読み返すほど、どのお話も好きです!これからのお話も楽しみにゆっくり待機します〜!最近、寒暖差が激しいのでお体に気をつけてくださいね! (2022年3月20日 23時) (レス) id: b86f0e9c1f (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - 雲さん» はじめまして、コメントありがとうございます(^^)夢主ちゃんショウタくん信者なので、つい出ちゃったんでしょうねー。笑 マナトくんほんとどんな空気にも合うので動かしやすく書きやすく、沢山出しちゃってます笑 これからもよろしくお願いします! (2022年3月17日 18時) (レス) id: b25d4639e4 (このIDを非表示/違反報告)
雲 - はじめまして、「ショウタくんを出せ」に爆笑して思わずコメントしました。マナティ推しですがめちゃくちゃ楽しく読ませていただいてます!シュント身内的な女の子にはこんなあしらいしてそうって想像出来るし、マナティ成分も高めで嬉しいです!続き楽しみにしてます! (2022年3月17日 16時) (レス) @page39 id: 2da972bf1d (このIDを非表示/違反報告)
白(プロフ) - アキさん» はじめまして!自家発電笑いました(^^)楽しんでいただけて何よりですっ!シュントくん推しの自己満足満載ですが、これからもどうぞよろしくお願いします! (2022年3月15日 0時) (レス) id: b25d4639e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白 | 作成日時:2022年3月4日 17時