とある科学の特異能力

8⇒冥土帰し ページ9

(上位個体とか銃弾とか、よく分かんないけど…!!)


学園都市第七学区。
乱れた息を整えながら、Aは目の前の建物を見上げた。


(学園都市の病院は恐らくここだけ。だから、)


一方通行はここにいるはず。


「…よし」


病院に入るや否や、Aは真っ直ぐに受付へと向かった。


「すみません。あの、お見舞いに来たんですけどっ…」


「はい、お見舞いですね。どなたのお見舞いに来られたんですか？」


看護師に聞かれてAはすぐに一方通行、と答えようとした。
だが、


「君が奏瀬Aさんだね？」


後ろから見知らぬ医者に声をかけられたことにより、それは叶わなかった。


「……誰ですか？」


「僕？僕はこの病院の医者だよ？」


カエルのような顔。
語尾が疑問系になる特徴的な口調。
―…もしかしてこの人は。


「冥土帰し(ヘブンキャンセラー)…」


「よく分かったね。それより、君にあの子についての話があるんだけど…少しいいかな？」


あの子、とは一方通行のことだろう。
そう察したAはカエル顔の医者に肯定の言葉を返し、彼の案内で別室に通される。


(ゲコ太みたい…)


「本当は君だけには言うな、と彼に口止めされていたんだけどね？」


「…そうなんですか」


「医者としての判断で君にも言うべきだと思ったんだ。聞いてくれるね？」


「はい、もちろんです」


「君ならそう言ってくれると思っていたよ？それじゃあまずは……」


それから一時間、Aの質問を交えながら二人は一方通行の容態について話していた。

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