とある科学の特異能力

5⇒検体番号10054号 ページ6

「えーっと……」


今日は始業式だったため学校は午前で終わった。
現在、午後12時07分。
Aは一方通行が住んでいたはずの部屋の前にいたのだが。


「一方通行の部屋ってここだったよね…」


目の前にある部屋は荒らされたせいか汚れていて、家具もほとんど破壊されていた。
扉があったはずの場所には“KEEPOUT”の文字が入った黄色いテープがある。


「…どういうこと？」


詳しく聞きたいところだが、この部屋の主がいないときた。
これではどうすることも出来ない。


(出直すかな…)





＊＊＊＊＊


「あ」


「…？」


一方通行の寮から去って学園都市をぶらぶらしていたところ、Aは一人の少女と遭遇した。


「おや、あなたは確か前に9982号と実験について会話をした方では？とミサカは思い出します」


「その話し方…美琴じゃなくて妹達？」


「ご名答です、とミサカは素直に褒めてみます。ちなみに検体番号(シリアルナンバー)は10054号です、とミサカは付け足します」


検体番号10054号。
その言葉を聞いてAの顔は歪む。


「…実験はまだ続いているんだね」


「何を言っているのですか？とミサカは真顔で返します。実験はすでに中止になりましたけど、とミサカは何も分かっていない様子のあなたに教えます」


「は？終わった、って…どういうこと!?」


思わず10054号の肩を掴む。
すると痛いです、という言葉と同時にAの頭に手刀が入った。


「〜〜っ!!」


「自業自得です、とミサカは冷めた目で見下ろします。そして先程の件については後でヤシの実サイダーを奢ってくれるのなら詳しく教えますが、とミサカは取引を提案します」


痛みに耐えながらお金がいるのか、とAは若干思いつつも、実験が中止になった理由を聞きたいのですぐに提案を引き受けることを決意した。


「…分かったよ。ヤシの実サイダー奢ってあげるから、ちゃんと詳しく教えてよね？」

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