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27⇒大事な話 ページ28

九月十六日。
Aは第七学区の病院にいた。


「…ったく、急に呼び出すなんて何考えてんだか」


『大事な話があるから来い』。
つい先程届いた一方通行からのメールには、その一文しか書かれていなかった。


(ま、明日から実験のオンパレードでしばらくお見舞いに来れないから、どうせ来るつもりだったけど)


そうこう考えている内に一方通行の病室に着く。
そしていつものようにコンコン、と扉を叩いた。


「…ん?」


が、すぐに聞こえてくるはずの打ち止めの声がしない。
彼女がいない場合は一方通行の声が聞こえてくるのだが、その声すらもしなかった。


…呼んだくせにその本人がいないなんて冗談じゃないっつーの。
Aはそう心の中で悪態つくと、遠慮なしに病室の扉を開けた。


「あれ、誰もいない……?」


――それはあっという間の出来事だった。


「!!」


彼女は横から伸びてきた手に肩を掴まれると、ダンッ!と勢いよく壁に押さえ付けられた。


痛みに顔をしかめつつも、自分を押さえ付けている人物を見上げる。
そこにいたのは、


「いったいなぁ…。なんのつもり?一方通行。随分と手荒いお出迎えね」


「…特異能力者、究極の原石計画。全部くだらねェ都市伝説だと思ってたが……」


右手で現代的な杖を、左手でAの肩を掴みながら一方通行は言った。


「まさかこンなすぐ近くにいたとはなァ」


「……分かっちゃった?」


「同居人に元研究者がいるから、ソイツに調べさせた」


「それはご苦労様でした」


「――…で、」


ギリッ、と一方通行は肩を掴む手に力を込める。
Aは痛がる素振りすら見せずに平然と彼を見つめている。


「実験っつゥのはどこでやってンだ?…特異能力さンよォ」


「…、そんなこと、アンタが知ってどうすんの」


「潰すに決まってンだろ」


それまで興味なさげに話を聞いていたA。
だが、一方通行の口から出た潰す、という言葉を聞いて、


「―……そんなこと…、」


彼の胸ぐらを掴んで自分の方に引き寄せた後、忌々しそうに言葉を紡いだ。


「そんなこと、私が許さない」

28⇒少女の叫び→←26⇒“約束”



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ポン酢醤油(プロフ) - μさん» 大丈夫です!やり方は調べてやりますので心配無用です!送り方が分かり次第送ります! (2016年5月15日 23時) (レス) id: 80dffa9047 (このIDを非表示/違反報告)
μ(プロフ) - ポン酢醤油さん» あと画像の送り方については…すみません、私じゃ上手く説明出来ないかと思うので占ツク内で検索してみてください…その方が分かりやすいと思いますので…。お役に立てず申し訳ございませんでしたm(__)m (2016年5月15日 23時) (レス) id: aca375c09c (このIDを非表示/違反報告)
μ(プロフ) - ポン酢醤油さん» 今更返信致します、申し訳ないです…!まずはコメントありがとうございます。私の書く一方通行が好きだと言って頂けて感謝感激です。あと奏瀬ちゃんのイメ画もありがとうございます! (2016年5月15日 22時) (レス) id: aca375c09c (このIDを非表示/違反報告)
ポン酢醤油(プロフ) - 最近読み始めて追いついたところです!μさんの書く一方通行かっこ良くてすきです。あと,私も禁書目録で作品書いてるってのと奏瀬ちゃんのイメ画書いてみたのですがまだ占ツク初心者でどう送ればいいのか分からないです。すみません教えてください(._.`) (2016年5月9日 6時) (レス) id: da413d3d63 (このIDを非表示/違反報告)
μ(プロフ) - 黒狼さん» うわぁぁコメントありがとうございます!一方通行書いてるんですか!分かりました、読ませていただきますね(∩´∀`)∩ (2015年7月28日 0時) (レス) id: aca375c09c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:μ | 作成日時:2014年5月18日 19時

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