11⇒心配と安心 ページ12
打ち止めが出ていった後、先程より一変して静まりかえった病室。
「あのさ、」
Aの冷静な声が部屋の中に響く。
「…下手したら死んでたかもよ?」
「……ナニが言いたいンだ、バカ女」
自分の足元を見ながら、Aは呟くように言った。
一方通行はそんな彼女のことを怪訝そうな顔で見る。
「ほんと無茶なことしたよね…。反射を切ったらただのひょろっひょろの白もやしのクセに」
「オイコラ。今なンつった」
すぐ傍から一方通行の視線を感じるが、とりあえず無視を決め込むことにしたA。
「…知ってたよ。一方通行が絶対能力進化実験に参加していたことや、打ち止めを救うために頭を撃たれたことも、全部」
「!……そォか」
突然のAの言葉に一方通行は驚いたような表情を見せる。
だけど、それもほんの一瞬のことで。
すぐに興味なさげに両手を後ろに組むと寝る体勢に入った。
「…ほんと勝手だよね」
しかしAは彼が本気で寝ていないことを分かっていたので、そのまま話を続ける。
「全く…。一人でなんでも抱え込むわ、勝手に傷付いてくるわ、物理攻撃に弱いわ、能力に比べて純粋な身体能力は大したことないわ…」
「テメェ喧嘩売ってンのか」
「でも……」
一方通行が自分の言葉に反応して体を起こしたのと同時に、Aは彼を優しく抱きしめた。
「!」
「アンタが死ななくて良かった。心配したけど…無事で安心したよ、一方通行」
本当は悔しかった。
自分の知らないところで彼が傷付いていたのが。
今日までそのことを知らなかった自分が。
だからせめて、彼を抱きしめることぐらいはしたかった。
これがAの気持ちだった。
「――…チッ、俺がそンな簡単にくたばるワケねェだろ…」
「うん。…分かってるよ」
二人ともいつもより口数は少なかったが、お互いの言いたいことは理解したため、それ以上の会話はなかった。
一方通行は抵抗せずAに抱きしめられたままでいる。
「そういえば…ミサカネットワークの補助がないと言語とか計算とか使えないんでしょ?」
「まァ、そォだな」
「へぇ…」
…嫌な予感がする。
一方通行は純粋にそう思った。
「チョーカー型の電極、だっけ?……、触ってもいい!?っていうかいじらせて!」
「ふざけンな!ダメに決まってンだろォが!!」
「少しだけ!電極を切った一方通行が見たい!」
その後、打ち止めが病室に戻ってくるまで二人の争いは続いたとか…。
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ポン酢醤油(プロフ) - μさん» 大丈夫です!やり方は調べてやりますので心配無用です!送り方が分かり次第送ります! (2016年5月15日 23時) (レス) id: 80dffa9047 (このIDを非表示/違反報告)
μ(プロフ) - ポン酢醤油さん» あと画像の送り方については…すみません、私じゃ上手く説明出来ないかと思うので占ツク内で検索してみてください…その方が分かりやすいと思いますので…。お役に立てず申し訳ございませんでしたm(__)m (2016年5月15日 23時) (レス) id: aca375c09c (このIDを非表示/違反報告)
μ(プロフ) - ポン酢醤油さん» 今更返信致します、申し訳ないです…!まずはコメントありがとうございます。私の書く一方通行が好きだと言って頂けて感謝感激です。あと奏瀬ちゃんのイメ画もありがとうございます! (2016年5月15日 22時) (レス) id: aca375c09c (このIDを非表示/違反報告)
ポン酢醤油(プロフ) - 最近読み始めて追いついたところです!μさんの書く一方通行かっこ良くてすきです。あと,私も禁書目録で作品書いてるってのと奏瀬ちゃんのイメ画書いてみたのですがまだ占ツク初心者でどう送ればいいのか分からないです。すみません教えてください(._.`) (2016年5月9日 6時) (レス) id: da413d3d63 (このIDを非表示/違反報告)
μ(プロフ) - 黒狼さん» うわぁぁコメントありがとうございます!一方通行書いてるんですか!分かりました、読ませていただきますね(∩´∀`)∩ (2015年7月28日 0時) (レス) id: aca375c09c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:μ | 作成日時:2014年5月18日 19時