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肉が焼ける匂いが、あたりに充満する。ラベンダーの香りと混ざって非常に不快な臭気となっている。
あれほど煩かったのにも関わらず、猫は断末魔をあげずに静かに燃えていった。
「ひゅう、楽勝」
「ベル、さ…」
「ああそうだ、ヒトミが死にそうなんだった」
ベルさんは杖を再び構え、今度は僕の方にその先を向けた。
「《治癒》、発動」
緑色の淡い光が放たれる。そしてそれは僕の体に纏わりつく。…暖かい。だんだん、体が軽くなっていく。
左頬に変な感覚がした。何かが塞がるような。僕はハッとして手で触ると、傷が塞がっていた。というか、身体中の傷が同じような状態になっていた。
体が完全に回復したところで、光は消えた。
「今のは…？」
「今貴方に使ったのは回復魔法。まあ魔法が使えないヒトミには関係ないか…とりあえず、家に戻りましょう。さっきの奴のことで、分かったことがあったの」
「分かったこと？」
「まあ察したとは思うけど、あいつは魔物の一種よ。魔物の中でも下等な部位に入るけどね」
下等？冗談はよしてほしい。僕は死にそうになったんだ。
「もう立てる？戻るわよ」
「はい」
ようやく、家に戻れる。安心感が凄まじい…。
__________________________
「魔物は、例外はあるけど基本的に日光に弱い。だから昼間は出てこないの」
「そうなんですね」
「次からは護身術を身につけてさせてからお使いに行かせるわ」
「そういう問題ですかね」
いや有難いけど。
「あの猫は、恐らく私たちが探している魔物の《使い魔》よ。使い魔というのは、魔物が使役している魔物のこと」
「え？なんでわかるんですか？」
「あの猫と、例の魔物の行動パターンが似ていたのよ。報告によればその魔物も猫の姿をしていて、飛びかかるように攻撃してくるって」
おっかないな、猫。僕のイメージとはかけ離れていく…これから僕はきっと猫恐怖症になるだろう。
「へぇ…使い魔は主人に似るんですね…というか、あの猫を上手く利用すれば親玉も見つかるんじゃないですか」
「御明察。私もそう考えていたのよ。
私はこれからその方向で調査をしていくわ。とりあえず貴方は家事に勤しみまくってて頂戴。命はもちろんっ、私が保証するわ！えっへん！」
胸を張られても困ります。ついさっき死にそうになったんですけどこっちは。
「じゃあお風呂が沸いてるから入ってきて。着替えは用意してあるわ」
「はい…」
ようやく一日が暮れていく。平和だ。
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葛 - Kirariさん» 感想ありがとうございますっっ！！！応援に応えられるように執筆がんばります！！！！！ (2021年2月24日 17時) (
レス) id: 882ef10c58 (このIDを非表示/違反報告)
Kirari - 人物の一人一人が、みんな個性的で、すごくおもしろかったです！！最初の主人公くんが落ちてきた、ってところも好きです！！これからもがんばってください！応援しています！ (2021年2月23日 13時) (レス) id: 659499b88d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：葛 | 作成日時：2021年2月10日 21時
