風に乗りて歩むもの ページ40
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すぐに思い浮かんだ言葉は単純
「面倒臭いわね」…ただそれだけだった。
数日前に＜大いなる厄災＞と戦ったばかりだからだろうか。
感覚が、戦いに特化している“北の性質”に近い状態にあるのだろう
敵対心を向ける獲物に対して、いとも容易く心が冷める。
考えるべき内容は様々あるだろうけれど…
鬱陶しいという感情が先行する。さっさと面倒の種は摘み取ってしまおう。
思ってからの行動は早かった。
箒から飛び降り、ビュウビュウと風に煽られながら重力のままに落下していく。
パレオは荒々しい音を立てながら風に煽られるまま上空に向かって翻り
左腕で押さえていなければ体の正面も巻き上がって視界を遮っていたことだろう。
上空から飛び降りるのは少しはしたなかったか、なんて考えていれば
私の体は風に煽られたまま、飛び降りた地点から地上までの丁度中腹あたりまで落下していた。
そしアチラの方も動き出した。
薄暗かった地表は距離を詰めたことで少しだけ見えるようになってきた。
上空から凹凸はあまり見受けられなかったのだが…
そこに潜んだ影は砕かれた恨みを纏い、自身がそこにいることを主張するように巨躯を顕にし始める。
手始めに、といったところか重力のまま真っ直ぐ落ちる私に向かって
爛れたように歪で、巨躯に反して細身な腕を雪原から突き出し
鉤爪のように鋭い五指を、私など簡単に包こめそうな掌を明確な殺意をもって振りかざす。
結局のところ、魔法を使えると言うだけで
肉体というただの魂の器は人間の女の肉体とそう変わらない。
ちょっと、死に辛いだけ。
肉が裂けるのも、骨が折れるのもこの体にだって起こり得ることなのだ。
ま、要はコレはマズいから回避するってこと。
パレオを抑えていた両方の手、その片方を下に向けて
小さく、荒々しく私と相手両方を威嚇するような吹雪に囁くように呪文を唱える。
私とウェンディゴの手、その間に小さな扉が現れ
そのまままっすぐ落下していく私を飲み込むように口開いた。
空間の扉が繋がる先は、ウェンディゴの傍ら。
『《ラブルムヒンク・ルモア》』
握ったリップを大きく横一線に、薙ぐように振るえば
上に突き出していたウェンディゴの腕はズルリと付け根からズレるように離れていく。
切断面から滑り落ちた腕は、積もった雪を巻き上げながら、崩れ落ちた。
吹雪が雪に降り立つ私の足音をかき消し
私もまた吹雪に溶け込むようにもう一度、今度は魔道具をしっかり握って呪文を唱えた。
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睡-ｽｲ-(プロフ) - 雪女さん» コメントありがとうございます。その辺がお好きなのですね…今後の描写の参考にしてみます！ (2022年12月19日 20時) (
レス) id: ab84331ee7 (このIDを非表示/違反報告)
雪女 - 更新楽しみにしてます。シャイロックとオーエン、双子との絡みが楽しみです🙂 (2022年12月18日 22時) (レス) id: 883542d863 (このIDを非表示/違反報告)
睡-ｽｲ-(プロフ) - Senaさん» 長らくそのままにしていたコチラの作品に反応頂きありがとうございます、コメントがあるとやる気が出るので嬉しいです…！2章が良すぎて出戻り夢小説ですがちまちま更新するのでお待ちいただけますと幸いです！！ (2022年5月19日 14時) (レス) id: ab84331ee7 (このIDを非表示/違反報告)
Sena(プロフ) - わ、わ、久しぶりの更新ありがとうございます！ (2022年5月19日 6時) (レス) id: 61121e16fc (このIDを非表示/違反報告)
睡-ｽｲ-(プロフ) - �盒兇気�» 感想コメントありがとうございます！こちらのババア(見た目詐欺)夢主は自由人として書いておりますので、内面を気に入っていただけたようで嬉しいです。自分のペースで、ではありますが頑張ります！ (2021年8月26日 0時) (レス) id: deb52841c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：睡-ｽｲ- | 作者ホームページ：https://twitter.com/sleep_d_urtk?s=09
作成日時：2021年8月12日 18時
