忘れかけた古きものの再来 ページ39
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顎に手を当て、今後について思案していると
それなりに強い魔力が近づいてくるのを感知する。
視線を床に向けて、目の前にない何かに思考を捧げていたが
私の感知できる範囲に、激流のように巡った魔力が近づいてきたとなっては
そちらに関心を寄せざるを得ないというもの…。
しかし、その激流は正しく「野生」を表している。
ようは、ヒト型の…比較的「理性」と言うものを保持した“それ”ではない。
推測ではあるけれど、ほとんどの確率で魔法生物だろう。
しかも、ここに…私の方を目指しているのか
その魔力は逸れることも、曲がることもなく直進している。
グッ、パー、グッ、パー…と手を握っては解いてを繰り返し
幾度目かの確認行為をした後に、大丈夫だろうと楽観的とも言える結論に至る。
左手を体の横で構えれば箒が出現して、
右手を何かを振り払うように手首だけで軽く内から外へ振れば、正面玄関が開く。
北の国ならではの厳しい自然が、吹雪となって室内にもなだれ込むが
振り払った右手で、流れるように
指を鳴らせば、まるで玄関に透明な壁が出来たように雪も風も城に入らなくなる。
コツ、コツとヒールと床で音を奏でながら
外に向かって一歩ずつ歩みを進め、適当なところで箒に飛び乗った。
魔法生物の気配の進行ルートから逸れるように直角に曲がると
気配は私の後を追うように急に進行方向を変えて速度が上げたようだ。
『近年ではなかなか見ない荒々しい魔力…。何を釣り上げちゃったのかしら。』
人間の村もない、山脈でもなく雪崩の心配もない方を目指し
適当なところで前後左右の移動をやめて上昇すると対象の方を見つめた。
気配はじりじりと近付くのに、荒々しい魔法に反して視界に変化はない。
ただただ吹きすさぶ風が
視界の全てを銀色に染め上げるばかりで大物は見当たらない。
…風、強くなってる……。
『…あぁ、ウェンディゴか。』
呟くが早いか、見つけるが早いか
それは真下で光っていた。
風と雪で灰色がかったように薄暗くなった真下で、ボヤりと光り
ゆらりと風と雪で見え隠れする鮮紅の２つのそれは、双眸だ。
何百年か、千年以上前かも忘れたが豪雪を巻き起こし
近隣で人を食ったりするものだから流石に鬱陶しくなって重い腰を上げたのだ。
殺した果てに、生まれたマナ石は怨嗟にまみれ
美食家の私にはあまり魅力的には思えず
風と共に歩む者…
その様を表すように粉々に砕いた石を吹雪の中で散り散りに飛んだ。
消したはずのそれは今、すぐ傍に居る。
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睡-ｽｲ-(プロフ) - 雪女さん» コメントありがとうございます。その辺がお好きなのですね…今後の描写の参考にしてみます！ (2022年12月19日 20時) (
レス) id: ab84331ee7 (このIDを非表示/違反報告)
雪女 - 更新楽しみにしてます。シャイロックとオーエン、双子との絡みが楽しみです🙂 (2022年12月18日 22時) (レス) id: 883542d863 (このIDを非表示/違反報告)
睡-ｽｲ-(プロフ) - Senaさん» 長らくそのままにしていたコチラの作品に反応頂きありがとうございます、コメントがあるとやる気が出るので嬉しいです…！2章が良すぎて出戻り夢小説ですがちまちま更新するのでお待ちいただけますと幸いです！！ (2022年5月19日 14時) (レス) id: ab84331ee7 (このIDを非表示/違反報告)
Sena(プロフ) - わ、わ、久しぶりの更新ありがとうございます！ (2022年5月19日 6時) (レス) id: 61121e16fc (このIDを非表示/違反報告)
睡-ｽｲ-(プロフ) - �盒兇気�» 感想コメントありがとうございます！こちらのババア(見た目詐欺)夢主は自由人として書いておりますので、内面を気に入っていただけたようで嬉しいです。自分のペースで、ではありますが頑張ります！ (2021年8月26日 0時) (レス) id: deb52841c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：睡-ｽｲ- | 作者ホームページ：https://twitter.com/sleep_d_urtk?s=09
作成日時：2021年8月12日 18時
