雪原で夜の髪を靡かせて ページ42
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ひくり、と四肢への懸念で上がった状態で
少しヒクつく口角に気付きながら、ドキドキと高鳴る胸が熱くなる。
熱を帯びるのは私の胸だけではなく
小さなその形に膨大な魔力を留めている私の魔道具も同様だ。
握る利き手に力が篭り続けるが「ここだ」と言う瞬間に
もう一歩踏み込んで、強く握りしめると、魔道具が周りの冷気を掻っ攫う。
『…っはは』
『……ｽｩ…』
『《ラブルムヒンク・ルモア》』
風が生ぬるく感じる程、温度が一瞬消え去った。
その犯人は間違いなく私なのだが…
瞬きの間も長く感じる、その刹那に空気中から奪った冷気が
一つの氷柱となり
ウェンディゴの体に風穴を開け、それ埋めるように地面に突き刺さる。
ウェンディゴの命が絶たれる、マナ石になる一歩手前で
ブツン、と風が止んだ。……いや、人間業ではないが
バキンッ、と砕け散ったウェンデイゴだったもの。
それとはまた別で、姿を保った氷柱の上にそのまま降り立ち
足元に散らばる“高度”なマナ石なんかよりも
もっと重々しく、むき出しの魔力の塊よりも主張の強い魔力の気配に目を向けた。
『…あら。いつ来たの？オズ』
この地は本来もう少し吹雪いているのが通常だけど
それを覆してしまうほどの男がそこに居る。
一時的とはいえ性質を捻じ曲げられた穏やかな風に
冬の夜空を詰め込んだ髪を靡かせて
いつもの仏頂面でただぼんやりとこちらを見上げていた。
私の呼びかけに気さくな挨拶を返すでもなく
この土地の魔法使いらしく、食ってかかってくるわけでもなくそこに居る。
長生き、と言う意味で付き合いは長いが肩を組み合うような関係でもない。
そもそもこの男から接触してくることなど極稀で
人の一生では事足りないくらいの頻度だ。
頻度で言えば数年前で
向こう５００年分くらいは消化したはずなんだけど
そんな珍しい事象が今、眼前で起きているわけだが…。
例の如く言葉足らずのこの男に若干の面倒臭さすらある。
『ハッキリ言いなさいよ。だんまりで居座られても困るんだけど？
その手に握った杖を納めないで
こんな場面に乗り込んできたなら相当の理由、でしょう。ねぇ？』
突然現れて人の愉しみに干渉して来たかと思えば
武器を納めることなく握ったまま、視線を注いでくるのは
ここが“
だが、男が唱えた言葉は高まり鋭くなった私の本能の熱を削ぎ落す。
「…ともに叙任式とパーティーに出席しろ。」
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睡-ｽｲ-(プロフ) - 雪女さん» コメントありがとうございます。その辺がお好きなのですね…今後の描写の参考にしてみます！ (2022年12月19日 20時) (
レス) id: ab84331ee7 (このIDを非表示/違反報告)
雪女 - 更新楽しみにしてます。シャイロックとオーエン、双子との絡みが楽しみです🙂 (2022年12月18日 22時) (レス) id: 883542d863 (このIDを非表示/違反報告)
睡-ｽｲ-(プロフ) - Senaさん» 長らくそのままにしていたコチラの作品に反応頂きありがとうございます、コメントがあるとやる気が出るので嬉しいです…！2章が良すぎて出戻り夢小説ですがちまちま更新するのでお待ちいただけますと幸いです！！ (2022年5月19日 14時) (レス) id: ab84331ee7 (このIDを非表示/違反報告)
Sena(プロフ) - わ、わ、久しぶりの更新ありがとうございます！ (2022年5月19日 6時) (レス) id: 61121e16fc (このIDを非表示/違反報告)
睡-ｽｲ-(プロフ) - �盒兇気�» 感想コメントありがとうございます！こちらのババア(見た目詐欺)夢主は自由人として書いておりますので、内面を気に入っていただけたようで嬉しいです。自分のペースで、ではありますが頑張ります！ (2021年8月26日 0時) (レス) id: deb52841c7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：睡-ｽｲ- | 作者ホームページ：https://twitter.com/sleep_d_urtk?s=09
作成日時：2021年8月12日 18時
