繋がった銀世界に燃える赤 ページ31
.
おかしな現象と向き合うのが面倒くさくなってきて
脱力したところで、追い打ちをかけるような「おかしな事」
外にいるのかと勘違いしそうになる風の音に
一度は伏せた瞳を開けると、視界の大半を占めたのは城壁の白とは違って
また瞼を閉じてしまいたくなるような明るい白で、目がチカチカする。
その中で浮き彫りになる燃えるような赤は、毎度の事ながら目立つ。
それに集中していれば陽の光と雪の反射による目の痛みを多少なりとも
和らげる事が出来そうで、瞬きを繰り返しながら、まじまじと見つめてしまう。
対して、突然の訪問者は足元の私をほぼ垂直に見下ろしながら
気だるげな表情のまま、少し訝しげに目を細めて見つめ返してくる。
「うわ……なにやってるんですか？」
当然のように、挨拶もなく
第一声からあからさまに引いてます、みたいな反応を見せる。
本当…礼儀がなってるんだか、なってないんだか。
本人はそんなことを思われているとはつゆ知らず、聞いてます？とか言いながら
空間の扉を開けたまま、真下の私に近寄るようにその場でしゃがみ顔を近づけてくる。
一度キュッと唇を閉じたが表情だけでは
この男に気持ちが伝わることは無いだろうと長い付き合いで学んでいる私は口を開いた。
『何しに来たわけ？』
眉間に皺を寄せて告げるが目の前の男は特に気にした様子もなく平然と
「あぁ…。ちょっと儀式に使う道具が足りなくて貰いに来ました。」
なんて言って、階段を登らず左手側に連なる物置とかした部屋を一瞥している。
『貰う、前提なのもムカつくけど、よりにもよって今？』
私自身、こうなることなど予測できなかったわけで
本人ですらないミスラに空気を読め、と言うのは無茶だと思いつつ
こんな醜態晒している時に、よりにもよって北の魔法使いに鉢合わせるなんて…。
しかも私が招いたわけでも、事前に了承していたわけでもない
勝手に訪れて、見られているわけで…眉間にシワが寄るのも止むなしでしょう？
「そちらの事情なんて知らないので。」
『生意気。…吸い尽くすわよ。』
鼻先が触れ合いそうなほどに至近距離で
互いの吐息を感じ取れるままに会話を続けている様は
第三者が居れば不審に思われていたに違いない。
でも、顔が好みという理由で私からキスもするし
双子の命令で魔力を吸い取る、と言う鎮静剤みたいな扱われ方でキスもする。
魔法舎の中でキス経験が一番多いのではないだろうか？
という変な付き合いの長さ、深いようで浅いようで…みたいな関係
ゆえに、あまり…距離の近さに嫌悪感が沸かない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 241人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
睡-ｽｲ-(プロフ) - 雪女さん» コメントありがとうございます。その辺がお好きなのですね…今後の描写の参考にしてみます！ (2022年12月19日 20時) (
レス) id: ab84331ee7 (このIDを非表示/違反報告)
雪女 - 更新楽しみにしてます。シャイロックとオーエン、双子との絡みが楽しみです🙂 (2022年12月18日 22時) (レス) id: 883542d863 (このIDを非表示/違反報告)
睡-ｽｲ-(プロフ) - Senaさん» 長らくそのままにしていたコチラの作品に反応頂きありがとうございます、コメントがあるとやる気が出るので嬉しいです…！2章が良すぎて出戻り夢小説ですがちまちま更新するのでお待ちいただけますと幸いです！！ (2022年5月19日 14時) (レス) id: ab84331ee7 (このIDを非表示/違反報告)
Sena(プロフ) - わ、わ、久しぶりの更新ありがとうございます！ (2022年5月19日 6時) (レス) id: 61121e16fc (このIDを非表示/違反報告)
睡-ｽｲ-(プロフ) - �盒兇気�» 感想コメントありがとうございます！こちらのババア(見た目詐欺)夢主は自由人として書いておりますので、内面を気に入っていただけたようで嬉しいです。自分のペースで、ではありますが頑張ります！ (2021年8月26日 0時) (レス) id: deb52841c7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：睡-ｽｲ- | 作者ホームページ：https://twitter.com/sleep_d_urtk?s=09
作成日時：2021年8月12日 18時
