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横に並んで、僕らは2人で歩き出した。
「ねぇ、それ何聴いてるの。」
僕がそう問うと、
その人は黙って片耳のイヤホンを外し、
僕の耳につけた。
流れてくるのは夜の街に似合いすぎている
ミディアムナンバー。
歌っているのは誰だろう。
僕は知らない女性アーティストだった。
甘ったるいけど、透明感のある声。
クセになる、と言えばいいのかな。
脳裏にこびりついて離れない。
この人みたいだ、と思った。
一度魅了された人は離れられない。
…そう、僕みたいに。
「名前、なに?」
「…リョウスケ。」
リョウスケ、か。
漢字はわからないけれど、
なんとなく僕の頭では、“リョウ”が“涼”に変換された。
きっとその涼しげな目元のせいだ。
「僕はユウリって呼んで。」
「わかった。」
こくり、一度頷いたリョウスケの手をもう一度掴んで、
僕はまた走り出した。
イヤホンが外れてしまわないように、
2人の距離は徐々に縮まる。
「ユウリ、どこに行くの。」
「どこに行きたい?」
「ユウリとなら、どこでも。」
奇遇だね、リョウスケ。
僕もリョウスケとなら、どこへでも。
運命的な出会いって、きっとこういうことでしょ?
「そうだなぁ、例えば地球の果てへ一緒に逃げようか。」
「いいよ。」
短い返事が風に乗って届いて、
ふとリョウスケの顔を見ると、
まっすぐに僕を見て笑っていた。
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haruu(プロフ) - わあ、ありがとうございます!めっちゃよかったです! (2020年10月18日 0時) (レス) id: 797b9f327e (このIDを非表示/違反報告)
りょんな - 名無し36907号さん» ありがとうございます!放課後バトルの続きですね!私もどうなるのか全くわかりませんが、書いてみようと思います。気長にお待ちください◎ (2020年10月7日 0時) (レス) id: c76645417a (このIDを非表示/違反報告)
名無し36907号(プロフ) - どの作品も最高に良かったです!放課後バトルの続きがめっちゃ気になります!よければ続き書いて欲しいです(^O^) (2020年10月5日 22時) (レス) id: 797b9f327e (このIDを非表示/違反報告)
りょんな - なおさん» なおさん、ありがとうございます!そう言っていただけると本当に嬉しいです( ; ; )これからも頑張りますのでまた読みにいらしてくださいね* (2020年10月4日 21時) (レス) id: 3de45195fb (このIDを非表示/違反報告)
なお - 桜の散る頃に。 凄く良かったです!あまあまな話も好きですが、泣ける話も結構好きなので、私的には楽しめました! (2020年10月4日 17時) (レス) id: 1baa7338bb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:りょんな | 作成日時:2020年9月22日 21時