114.現実 ページ38
You side
私は、目を瞑って、暗い海に意識を漂わせていた。
何だか気持ちがふわふわして、何をしていたのか思い出せない。
確か、大先生と話していて……。
どうにかそこまでたどり着くと、芋づる式に記憶が呼び起こされる。
閉ざされた暗闇。背筋に走った誰かの吐息。無理やり頭を押さえつけられ、背中を突き飛ばされた。恐ろしい浮遊感と、頭に走った衝撃。
「……！」
急激に浮上した意識に従って目を開くと、そこには見慣れない天井があった。
一体あの場で何があったのか、大先生は無事なのか、様々な疑問が頭をよぎる。
体を起こそうとすると、強烈な頭痛に苛まれた。
「う……、あ………」
思わず呻き声をあげ、再び体を横たえる。酷い痛みに顔をしかめて頭に手をやると、頭に包帯を巻かれているのが分かった。
痛みは心臓の鼓動と同期していて、心臓がドクン、ドクンと波打つ度に、熱を伴ってズキズキと痛む。
しばらく痛みが収まるのを待って、今度はゆっくりと、首だけを動かしてみる。
周囲は真夜中で真っ暗だが、窓から差し込む月明かりと、少しだけ開いたドアから漏れる光のおかげで、何があるのかくらいは分かる。
ここがどこの部屋なのかは分からないが、医療器具や魔術用の羊皮紙が置いてあるところから、医務室のような所なのだろう。
右側には私が寝ているのと同じようなベッドがあって、誰かが寝ていた。
何気なくその顔を見ようとして首を動かし、その人物の顔を目にした瞬間、心臓が凍りつくような錯覚を覚えた。
ゾムさんが、上半身のあちこちに包帯を巻かれた状態で寝ていた。その包帯には血が染みている。顔色も悪い。
「ゾム、さん……」
掠れた声で呟き、痛む頭も腕に刺さった点滴も無視して、彼の元に近寄って、手を握る。
冷たかった。
「………………え？」
どうか間違いであってくれ、それか私の勘違いであってくれ。
嫌だ、認めたくない……。
彼が死んでいるなんて。
嘘だ、嘘だ！
どうしようもない真実を否定してくれる誰かが欲しくて、私は上手く動かない体を必死に動かし、部屋と外を繋ぐドアを開けた。
外にはもう一つ部屋があり、何人かがいるのが分かったが、目が霞んでよく見えない。
私の体はそこで限界を迎えたのか、その場にへたり込んだ。
一番最初に私に気づいた誰かが、急いで私に近づいてくる。
ut「Aちゃん！」
大先生だった。
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ぽいぽい(プロフ) - 鈴蓮さん» 全然気にせず、自分の好きなよーに書いちゃっても大丈夫ではないでしょうか？俺はどんな展開でも楽しみですよ^ ^レス失礼しました。 (2019年7月19日 22時) (
レス) id: 05af6d92c8 (このIDを非表示/違反報告)
鈴蓮(プロフ) - ぽいぽいさん» コメントありがとうございます！実は恋愛系を書くのは苦手で、自分で自分の首を締めたことを少し後悔していたり……笑 (2019年7月19日 18時) (レス) id: 4a95fce3d1 (このIDを非表示/違反報告)
ぽいぽい(プロフ) - 初コメいただきます。お話に甘酸っぱさが出てきましたね^ ^国と国との関係も、人と人との関係も、これからの発展が楽しみです。更新無理せず頑張ってください。 (2019年7月18日 21時) (レス) id: 05af6d92c8 (このIDを非表示/違反報告)
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